淡々とした良作

この「淡々とした」というのは褒め言葉です。
「淡々としていて、つまらない」ではありません。
「淡々としていて、じわじわ来る」なのです。

「淡々とした」とはどういうことかと言うと、例えば…
ヒロインは美少女ですが、学年一とか学校一といった派手な肩書はありません。
文武両道でもありません。
主人公も、すごい能力があるわけでもありません。
やはり、文武両道でもありません。
部活とか勉強といった、ヒロインとのイチャイチャ以外も描かれてます。
とくに部活ではヒロインとの接点が一切ありません。
これは普通のラブコメではまず見かけないパターンです。
ヒロイン視点のモノローグがありません。
したがって、なかなか恋愛の謎解きをさせてもらえません。

このように今どきのラブコメのスタンダードと比較すると淡々としているように感じてしまうのですが、これはこの作品が淡々としていると言うよりも、スタンダードが刺激的に走りすぎているのではないかということに気付かされます。
この淡々とした流れに身を任せていると、今どきのラブコメにないようなリアリティーを感じるようになって、じわじわ来るのです。
自身の中学生時代を思い出すような読者も居られるのではないかと思います。

いまどきの刺激的に走りすぎたラブコメとは違った味わいを感じてみたい人におすすめしたい作品です。

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