ヴェレーノポイズン

処サク

第1話-花毒(かどく)-


{登場人物}


・ヴェレーノ=ポイズ♀

絶世の美女。めちゃくちゃ美しい。

昔から、毒を作る事にはまっている。感情を表に出すことがない為、感情があるのかないのか分からない。

現在は、とある町で毒屋を営んでいる。


「EP1-花毒-ゲストキャラ」


・カズラ♂

まぁまぁ富豪の男性。

皿や壺などの骨董品を集める事が趣味である。


・アイビー♀

カズラの妻。

少々抜けている所があり、カズラが大切にしている皿などを事故で割ってしまう事が多々ある。


・男(モブ)♂

カズラを乗せる馬車を運転する男性。


「配役表」


・ヴェレーノ=ポイズ♀:


・カズラ♂:


・アイビー♀:


・N&男♂:


------------------------------------------------------------------------------------------------


N:「EP1「花毒(かどく)」」


ポイズN:「私の父は医師をしながら殺し屋をしていた。」


ポイズN:「私は昔から、父が所持していた薬品を使って-毒-を作る事に夢中だった。」


ポイズN:「最初に作った毒はこっそりと父がいない隙を見て、父が楽しみにしていたワインの中に入れた。」


ポイズN:「まんまと父はワインを飲み、その日から重度で危険な-赤色依存症-となった。つまり、酒がないと手が震えだすアルコール依存症のようなものに。」


ポイズN:「父は母がワインに何か異物をいれたと疑い、母を殺した。そこで、私は自分が毒を作りワインに仕掛けたと白状した。」


ポイズN:「そうしたら、父は私を精神病院送りにした。それから父には会っていない。」


ポイズN:「噂によると父はある青年に殺されたらしい。まぁ、可哀そう。」


ポイズN:「ざまぁ、味噌汁だわ。」


(in花畑


N:「綺麗な花畑。1人の女性がニコニコしながらスキップをしながら鼻歌を歌いながら花畑を謳歌している。」


N:「時に花をつみ、時に花の美しさを鑑賞し。時に花の甘い匂いを嗅ぎ。」


(inとある西洋風の町


N:「ここは、とある西洋風の町。町では多くの富豪達が歩いている。新聞を読む者、夫婦で愛し合いながら歩く者。」


N:「そして、そんな賑やかでオシャレな町のとある奥の奥の奥の奥。人通りもなく灯りもない路地。そこに絵本の中から飛び出してきたような家が佇む。」


N:「その家の玄関の灯りだけが静かに灯る。そして、そんな家に1人の帽子を深く被った男が足を踏み入れる。」


(in室内


(ドアに仕掛けた鈴が鳴り


N:「家の中は花の蜜のような甘い匂いで包まれている。」


ポイズ:「あぁ、いらっしゃい。どうぞ。」(何かをノートに書きながら言い


カズラ:「アンタか。-どんな毒-でも売っているという商人は?」


ポイズ:「そうだけど。」(ペンを止めない


カズラ:「本当に、どんな毒でも取り扱ってるのか?」


ポイズ:「さっきもそう言ったんだけど?耳がないの?」


カズラ:「っく・・・確認の為に聞いたまでだ。失礼したな。」


ポイズ:「ここに無い毒はない。それは、つまり・・・私に作れない毒は無いって事よ。」


カズラ:「風の噂ってやつもたまには真実な事があるんだな。」(椅子に座り


カズラ:「今日は・・・」


ポイズ:「大丈夫。貴方はここに-毒殺しても証拠が残らない毒-を買いに来たんでしょ。」(ペンを止め


カズラ:「なっ・・・なぜ分かった!?」


ポイズ:「アナタみたいな人は大体-アレ-を欲しがるから。それに、やっぱり-アレ-が一番売れる。」(立ち上がり棚を見ており


ポイズ:「はい。」(机に瓶を置き


N:「ポイズは机にキラキラ光る透明な液体が入った小さな瓶を置いた。液体だけを見ると、とても毒には見えない。むしろ、聖水に近い液体に見える。」


ポイズ:「これは-無毒(むどく)-その名の通り、体に含んでも毒物検出されない毒。だから、誰かを毒殺するにはもってこいって訳。ふふふ。すごいでしょ?私すごいでしょ?」


ポイズ:「これで、今までに何人の人間が死んだのやら、想像するだけで鼻血が出ちゃいそう。」


カズラ:「とても、毒には見えない見た目だな。」


ポイズ:「疑うなら試しに飲んでみる?」(グラスを手に持っており


カズラ:「飲むわけないだろ!!これは、毒なんだろ!!!」


ポイズ:「ジョークよ。ジョーク。確かに、見た目は毒には見えない。だけど、これはアナタにとって毒じゃない。」


ポイズ:「そうでしょ?」(顔を近づけ


カズラ:「・・・・まぁな。」(不気味な笑みを浮かべ


カズラ:「くくく・・・これで・・・これで、ようやく。」


カズラ:「こいつを一つくれ!」


ポイズ:「毎度あり。支払い方法は2つあるけど、どっちにするかしら?」


カズラ:「2つ?どういう事だ?」


ポイズ:「1つは高い高いそれは高い高いお金を私に支払う。もう1つは、私のほんと、とんでもなく楽ちんで軽い仕事に協力する。どっちがいい?後者が断然お得よ。」


カズラ:「金を払うに決まってるだろ。アンタとの付き合いはここまでにしたいからな。」(小袋を手に持ち


ポイズ:「あら、つまらない。残念だけど仕方ない。」


(数分後


N:「男は支払いを済ませ扉を開け、店を後にする。」


カズラ:「じゃあ・・・」


ポイズ:「あぁ、一つ伝えたい事が。」


ポイズ:「お幸せに。」(指で無理やり口の口角を上げる


カズラ:「・・・・」(ドアを閉め


ポイズ:「今日は大繁盛ね。」(金をゴミ箱へ捨て、再びノートを書き出す


(in馬車内


N:「カズラは先ほど購入した-無毒-をまるで宝石を見るかのような目で見つめる。」


カズラ:「おい!」


男:「どうしましたか?旦那?」


カズラ:「ここらで上物のワインが置いてある酒屋へ寄ってくれ。」


男:「へい!了解しやした!」


カズラ:「最期くらい、甘い蜜を吸わせてやらないとな。ふふふ。」(瓶をポケットへしまい


(inとある屋敷のキッチン


アイビー:「(鼻歌)」


(オーブンのチンッという音が鳴り


アイビー:「出来たぁー!」(お皿にクッキーを並べ


アイビー:「う~~ん、甘くていい香りぃ・・・。はぁ・・はぁ・・」


N:「アイビーはお皿に花形のクッキーを丁寧に並べていく。」


アイビー:「カズラが喜んでくれると嬉しいな。いつも・・・ご機嫌損ねてばかりだから・・。」


N:「アイビーは痛々しい手にできた痣を隠す包帯を強く腕で握る。」


アイビー:「カズラ・・・一生懸命作ったからね。いっぱい・・・食べてくれるといいなぁ。」


(それから


N:「それから、しばらくして屋敷の扉が開く。カズラが帰宅したのだ。」


カズラ:「今、帰った。」


アイビー:「おかえりなさい!!カズラ!!私、良い子にしてたよ!!」


アイビー:「今日はね!!クッキーを手作りしてみたんだ!!カズラに喜んでもらう為に頑張って作ったから食べてほしい!!」


アイビー:「そしたら・・・昨日の粗相、許してくれる・・?」


カズラ:「もう大丈夫さ。皿なんて何枚でも新しいのを買えばいいんだから。私こそ、キツク当たってしまってすまなかった。」(アイビーの腕につく複数の痣を見ながら言い


アイビー:「えっ・・・カズラ?」


カズラ:「それより、上物のワインを偶然見つけて買ってきたんだ。クッキーを食べながらどうだ?」


アイビー:「あぁ!!」(明るい表情を浮かべ


アイビー:「すぐに準備するから先に座ってて!!!」(キッチンへ向かい


カズラ:「これで・・・-人生の汚点-ともさらばだ。本当に若気の至りだった。あんな、出来損ないの女と結婚してしまうとは。」


カズラ:「だが、今日でアイツともおさらばだ。なぁに、心配するなアイビー。」(ゆっくりと歩を進め


カズラ:「せめてもの情けとしてお前の死体はお前の大好きな大好きな-あの花畑-に埋めてやる。花に囲まれて一生の眠りにつけるんだ。嬉しいよな?喜んでくれるよな?アイビー。」


N:「カズラはワインのコルクを外し、そこへポイズから購入した-無毒-を全て混ぜこむ。」


カズラ(心の声):「これでもう私の-コレクション-が傷つかなくてすむ。」


(inリビング


N:「アイビーは机に花形のクッキーが乗ったお皿を、カズラは綺麗で洒落たグラスに-毒入りワイン-を注ぐ。」


アイビー:「う~~ん、いい香りぃ~~。何だか、洒落た匂いがするねぇ。」(ワインの匂いを嗅ぎ


アイビー:「甘い蜜のような匂いもするなぁ。」(グラスを机に置き


カズラ:「さすがは上物だな。さてさて・・・」(クッキーを口に運び


N:「カズラは口の中でクッキーを数回かみ砕く。そして、体の中へと運んだ。」


アイビー:「どう・・・かなぁ?」


カズラ:「うん、なんかいつもと違ってすごい甘くて何だか・・・不思議な・・・がはっ!!!!」(血を吐き


カズラ:「ぶはああああ!!!!あああああ!!!」(大量の血を吐き


アイビー:「ふふっ。」(席を立ち


カズラ:「アイビー・・・お前・・・・がはああああ!!!」(血を吐きながら倒れ


N:「カズラが血を吐きながら倒れると、ポケットから空になった-無毒-の瓶が転がり落ちた。」


(アイビーが瓶を拾い上げ


アイビー:「なぁんだ、カズラもあの店知ってたんだね。」


カズラ:「はっ・・・まさ・・・か・・・」


(回想


ポイズ:「大丈夫。貴方はここに-毒殺しても証拠が残らない毒-を買いに来たんでしょ。」


(別回想


ポイズ:「あぁ、一つ伝えたい事が。」


ポイズ:「お幸せに。」(指で無理やり口の口角を上げる


(回想終了


カズラ:「だから・・・か・・・ぐはああああ!!!!」(血を吐き


アイビー:「カズラ酷いよ。私は、こんなにもカズラを愛してるのに。」(瓶を手で粉々に砕き


カズラ:「わっ・・・わあるがっだ・・・たっ・・たすけ・・・」


アイビー:「私が買った毒はね-植物人間-を作る事のできる毒なんだぁ。体内の血を全部抜いて、腐ることがない綺麗な花の標本のような-植物人間-を作る事ができるんだってぇ。」(不気味な笑みを浮かべ


アイビー:「カズラは・・・私の花になるんだよ。誰にもつませない・・・私だけがその匂いと美しさを1人占めできる。ふふ・・・」


アイビー:「私はね、別にカズラが生きていなくたっていいんだぁ。だって、カズラは生きてると私の元を離れそうだから。」


カズラ:「っう・・・ぶっ・・・」(吐血する血の量が減り始め


アイビー:「でも、これでその心配はなくなるね。私は、カズラの体が近くにあるだけで本当に・・・本当に幸せなんだぁ。」


アイビー:「ずっと一緒だからね。絶対に枯らせたりしないから。私が、愛情たっぷり込めて育ててあげるから。」(冷たくなりつつあるカズラを優しく抱きしめ


アイビー:「永遠に。」


カズラ:「・・・あっ・・・がはっ・・・・」(体がほぼ真っ白になっており


アイビー:「ふふっ。大好き。」


(それから、しばらくして


(屋敷の玄関が叩かれ


アイビー:「はぁ~い。」(ドアを開け


ポイズ:「ハロー。あら、あなたが生き残ったのね。」(中へ入り


アイビー:「いいえ。カズラもほら・・・」(指さし


N:「アイビーが指さした先には椅子に座らされている植物状態のカズラが見える。」


ポイズ:「なるほど。」


アイビー:「本当に、今回はありがとうございました。」


アイビー:「ただ・・・まさか、カズラまで毒屋さんに行ってるなんてぇ。ポイズさんも想定外の出来事でしたぁ?」


ポイズ:「そんな事より。あの時の約束覚えてる?」(アイビーに顔を近づけ


アイビー:「もちろんですよぉ!!毒をいただく代わりにポイズさんの仕事に協力するってやつですよねぇ。あぁ!!それで、今日ここへ。」


アイビー:「それで、私はどんな仕事を・・・っぐ!!!」(首に注射器を刺され


N:「アイビーがポイズに仕事内容を聞いた瞬間であった、ポイズが物凄い速さで怪しさ満点の液体が入った注射器をアイビーの首元へと刺した。」


アイビー:「ぐあっ!!!」(首を抑え倒れ


ポイズ:「知ってる?薬って完成したら、その効果を試す為にまずは動物に投与するの。」


ポイズ:「毒も同じでね。その効果を検証する為に、誰かに投与しないといけないの。そして、私はスーパーミラクルいい人間なので動物に投与はしない。」


ポイズ:「じゃあ、何に投与するか?」


アイビー:「がはっ・・・あっ・・・」


ポイズ:「そう人間。人間に投与する理由としては、人間用の毒を私が作っているという理由と反応が見ていてとても愉快。飯ウマって訳なの。」(椅子に座り


ポイズ:「ただ、毒って本当は命を奪う為の道具ではないの。たまたま、命を奪ってしまう物。だから-事故-と同じようなものなの。」


ポイズ:「命を奪う場合もあるし、人間から何か1つを奪う場合もある。または全く毒の効果が発動しない場合もある。」


ポイズ:「-ギャンブル-的要素もあるわね。」


ポイズ:「ほんと毒ってこれだから辞められないわ。」


ポイズ:「私-ポイズン中毒-だわ。」


アイビー:「あっ・・・背中が・・・体が・・・何だか・・・熱い・・・それに・・・ものすごく痛い・・・ぐう・・ううう」


ポイズ:「喜んで頂戴。今回作った毒はアナタが仕事に協力してくれるって聞いて作った毒だから。いわば、アーティストが映画用に書き下ろした曲みたいなもの。」(カメラを触っており


ポイズ:「貴方にピッタリ。つまり、その毒は-花-にまつわる毒よ。」(懐中時計を見


ポイズ:「ある花の種を粉々に粉砕し、植物を異常成長させる事ができる違法の成長剤に混ぜ込んでみたの。」


ポイズ:「喜んで。花も私なりにこだわったつもりよ。」


ポイズ:「そろそろね。」(懐中時計を確認


アイビー:「いだいいだいいだいだいいだいだい・・・あああああああああ!!!!!」


N:「アイビーが泣き叫ぶと、アイビーの体中から無数の-オダマキ-の花が生え始める。目からも鼻からも口からも臓器を突き破り、皮膚を突き破り。そして、しばらく藻掻いた後についに心臓を花が貫いた事によりアイビーは絶命した。」


ポイズ:「ほぅ。」(メスを手に持ち


ポイズ:「この毒は、当たりどころが悪かったら死ぬという訳ね。」


N:「ポイズはいつの間にか解体したアイビーの遺体を見ながらノートに記す。」


ポイズ:「また新しく素敵な花好きの為の毒が出来たわ。ご協力ありがとう、アイビーさん。それじゃあ。」(帽子をかぶりカバンを手に持ち屋敷を後にし


N:「ヴェレーノポイズンEP1 THE END」


-to be continued-



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヴェレーノポイズン 処サク @syojyo_bungaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ