あとがき

 まずは、数多ある作品群の中から本作『放課後ボカロッカー』を選び、読んでくださった皆さま、誠にありがとうございます。最初から最後まで読んでくださった方、このあとがきだけ読んでくださっている方、様々だとは思いますが、ほんの僅かでもこの作品に触れていただいた方には等しくお礼を申し上げたいと思います。


 さて、ロックミュージック研究会シリーズの第二部のような位置づけである本作ではありますが、いかがでしたでしょうか。お楽しみいただけましたでしょうか。

 第一部にあたる『ロックミュージック研究会』を読んでいただいていない方にも違和感なく読んでもらえるように執筆したつもりです。それは、おそらく達成できたのではないかなと思っています。

 本作は、『ロックミュージック研究会』ではテーマとしていなかった《恋愛》に重きを置いた作品です。カテゴリ上はラブコメとなっており、筆者の最初の構想としてもラブコメを書こうと思って筆をとった本作ではありますが、あまりラブコメっぽくなかったのかなと今となっては率直に思っています。

 特にコメディの要素ですね。これはもう仕方ないのかもしれません。登場人物が陰キャばかり、そしてそれを描く筆者自身も陰キャときています。つまりは作中からメタまで陰キャばかりなのです。これでは突き抜けるように明るくて、爽やかな笑いなど生まれるわけがありませんね。まぁ、ダウン◯ウンとか、そうじゃない笑いも腐るほどあるだろ、むしろそれが天下取ってるだろと言われたらそれまでですが。


 と、まぁ登場人物が陰キャだらけの本作ですが、実はこれにはちゃんとした理由があります。

 突然ですが、ロックって陰キャっぽくないですか?

 一昔前であれば、ロックといえば破天荒で不良っぽいイメージだったと思います。ドラムセットと一緒に権力をぶっ壊す! 的な。反骨精神があってなんぼみたいな。

 そんなロックも今では陰キャの音楽というイメージになりつつあるようです。私もそう感じています。『なぜロックは陰キャ御用達の音楽となったのか』といったようなネット記事を見かけたとき、それは確信に変わりました。

 ロックと陰キャは親和性が高いのです。もはや認めざるを得ないのです。

 そんな時に思いついたのが本作品でした。第一部『ロックミュージック研究会』の登場人物は陽キャとは言わないまでも、不良であったり、委員長タイプだったり、あまり陰キャっぽくはありませんでした。あちらはどちらかというと従来までのロックのイメージ。陽の部分を表現したものといえます。

 対して、本作は陰の部分。ロックは陰キャの音楽という最近のイメージを真正面から受け止めています。その上で、『陰キャ(=ロック)×ボカロ』を裏テーマ(?)としていたわけです。

 なぜ積算する相手がボカロなのかというと、ボカロにもやはり陰キャのイメージがあったからでしょうか。つまり、『陰キャ(ロック)×陰キャ(ボカロ)=???』ということです。


 本作はラブコメです。誰になんと言われようと私はラブコメとして世に送り出しています。コメの部分は精進料理並みに薄味かもしれませんが、ラブコメなのです。

 では、ラブの部分はどうでしょう。最後までお読みいただいた方ならお分かりかと思いますが、ちゃんとラブしてますよね?(威圧)

 多少出足が遅いのはご愛嬌です。なにせ彼らは陰キャですから。本来ラブなんて縁遠いんです。あんな見るからにキラキラしたもの、自ら遠ざけてしまうんです。そんな陰キャが頑張ってラブしてるなんて微笑ましいじゃないですか。微笑ましいでしょ? そう思っていただけてたらいいなぁというのは筆者の願望です。

 ラブの部分も陰キャばかりの本作では、難しい部分が多々ありました。なにせヒロインは重度のコミュ障なんです。けれど、最後は爽やかにラブしてくれたかなと思っています。私に作風などというものがあるとしたら、きっと本作のラブは作風らしくはないと思います。けれど、いいんです。彼らの不器用なラブを描くのはとても楽しかったですから。


 本作品は、ロックミュージック研究会シリーズの第二部的な位置付けだと書きました。シリーズを通して読んでいただけた方には伝わると思うのですが、このシリーズの中で何も解決していない謎のようなものが実は投げっぱなしのまま放置されています。まぁまぁ大きい謎なんですけどね。

 それは第一部である『ロックミュージック研究会』を書き始める前からある設定なのです。本作中の百合葉ゆりはの言葉にもありましたが、それはズバリ、《ロックミュージック研究会の部長には不思議な力が宿る》というもの。


 当初はシリーズものにするつもりがありませんでした。そして、この設定自体、裏設定的に解決しないままの方がいいと判断して解決しないまま『ロックミュージック研究会』を終え、『放課後ボカロッカー』を終えるつもりでいました。「あれってなんなんだろう」と読者の中に疑問を残したまま終えてもいいのかなと思っていました。

 ですが、どうせ第二部まで書いたなら三部構成にした方が収まりがいいなぁと『放課後ボカロッカー』執筆中に思ってしまったんです。思ってしまうと、もう構想は止まりません。そして、それなら最大の謎をちゃんと解決して、しっかり終わろうと。

 そんなわけで、おそらく第三部をいつの日かお目にかけることになるかと思います。楽しみにしてくださる方がいたら嬉しいな。


 何はともあれ、ひとまずのところ、ロックミュージック研究会シリーズは一旦お休みです。また、第三部を選んでいただける日を祈ってこの取り止めのないあとがきを終えたいと思います。


 最後に、途中間が空いてしまったにも関わらず更新するたびにすぐに読んでくださり、ハートまで送ってくださった読者様には本当に感謝してもしきれません。大変励みになりました。ありがとうございました!


 最後までお読みいただきありがとうございます! また、次の機会に是非ともお会いしましょう。

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放課後ボカロッカー 宇目埜めう @male_fat

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