第9話・それから・・・

母親はまた取り囲まれて言っていた。

「娘が……っ、娘が…… っ! 昨日、急に胸を苦しみ出して、体はバタバタと魚のように跳ねるし、わたし、もう、、びっくりしちゃって・・・ 。」母親は顔を覆った。

「熱を測ったら40度近くあって。真っ白くなって、失神しました、」うっ う、と母親の泣き声が響いた。

「娘は「「お母さん。私が苦しんでるのを皆さんに言わないで。」」って言うんです。気丈にして周りに心配をかけない様にするんです。いつだって、27時間の手術をした時もそうだったの。「あら?!サチちゃんっ!!」話していた主婦の一人が向こう側の通りを見て驚いて叫んだ。

サチが向こうから走って来た。タッタカ軽い足取りで、こちらの方にやって来ていた。

それを見て母親や周囲を取り巻いていた人達はビックリして、口を塞いでしまった。

「サチちゃん!!何してるの?!ダメでしょ?走っちゃ!」と母親は、周囲を気にしいしい叫んだ。

「だってあたしどこも痛くないの。」

「何言ってるの。そんな訳ないでしょう!?ダメよ。ジッとしてなきゃ!!」

「あっちに行くの。」とサチは草原の方を指差した。

そして元気に駆け出していくその後ろ姿を全員が呆然と見つめた。

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パリスの審判 コーラカル @ko-lakalu

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