SFとファンタジーの融合が珍しい、期待値の高い作品だ。転移した異世界が全員チート能力持ちというチートを逆手にとった設定が秀逸だ。チート能力に甘んずることなく繰り広げられる展開が面白い。
かつてバミューダトライアングルで消失した一隻のイギリス海軍。乗客乗員の300人は異世界ウォール・ガイヤで新たな人類史のめていた。そして百十数年後の西暦2018年9月、その異世界に一人の少年が現れる。現代知識が持ち込まれたことで発展した文明。様々な国籍の人間が転生してきたことで混ざり合った結果、そこには多種多様な文化や考え方も持った人々が暮らしていた。そしてその人々は全員『チート能力』と呼ばれる特異な力を身に宿していたという物語。
主人公渡辺勝麻が基本的にいい奴なので好感が持てる。敵味方が入り乱れる中でも苦悩し諦めない姿勢は見ていて応援したくなること受けあいだ。謎の引きもよく次に何が起こるのかどうなるのかという魅せ方も上手い。ただひとつ評価を落とした点は、圧倒的な文章力不足だろう。展開を台詞や描写で説明しすぎている。物語ではなく設定資料。特に戦闘シーンでは解説を読まされている気分だ。この部分を改善すれば、更に良い作品に繋がるとおもう。期待作である。 アラフォー女の風子『60点/100点』
アバンと本編で世界観が違う様に感じられるかもしれないですが、紛れもなく繋がっております。
主人公がトラックに撥ねられ、チート能力を授けられて転生してくるところから本格的に物語が始まりますが、最初、何のチートが授けられたかは他の人と違って謎です。
そして、この世界独特の制度で必ず転生者には「パートナー」が与えられるのですが。
この「パートナー」制度からしてもう謎が満載です。
むしろ、この世界は読めば読むほど謎だらけです。
さらりとテンポ良く読める物語ですが、そのテンポ良さとは裏腹に綿密に練り込まれた伏線が至るところに張り巡らされています。
この織り交ぜ方が秀逸で、後になればなるほど「そうだったのか」と唸らされること間違いなし。
主人公をはじめとし、パートナーであるマリン、出会っていくオルガ達一人一人が重い背景を持ち、葛藤や傷を抱えています。
それを乗り越えようと必死にぶつかり合う熱さは、他の小説と比べても随一だと思います。
昨日の敵が今日の味方、今日の味方が明日の敵。
目まぐるしく入れ替わっていく人間関係、乗り越えようと足掻く強さ、けれど乗り越えた後の挫折と絶望。
世界の謎と熱く渦巻く人間模様に、いつの間にか引き込まれていくことでしょう。
エピローグも、読むとざわざっとした謎が最後まで残されていて本当に素晴らしいです。
第二部も遂に始動しました。
是非、一読して頂きたい逸品です!