病名宣告
コタツの猟犬
誰でも一度はかかる……かもしれない。
「貴方は病気です。それもかなり重症のようです」
「そ、そんなに悪いんですか」
「ええ、末期ですね」
「そ、そんな……ど、どうして僕が…………どうしてなんですか?」
「まぁよくある話ですから」
「そ、そんな爽やかによくあるって……流行り病とかってことですかっ!」
「流行りという程ではありませんが、一定の期間かかりやすくなるというか、
大抵の人がかかります」
「そ、そんなに感染力が強いんですかっ⁉」
「まぁ大丈夫ですよ」
「だ、大丈夫って……だって末期なんですよね?」
「ええ、かなり進行してますね」
「じゃあ僕は……そ、その治療法とかっていうのは?」
「ありません」
「そ、そんなぁ…………」
「何とかなりますから、全然大丈夫ですよ」
「大丈夫って……さっきからそればっかりだな。
というか、いい加減、病名を教えてくださいっ!」
「ああ、そう言えばそうでしたね。敢えて付けるなら、
病名は、突発性恋愛症候群です」
「とっぱ? れんあい? なんですかそれは」
「ええ、所謂、世間でいう所の一目惚れって奴です」
「はっ⁉ じゃあ僕は恋をして、体調が悪くなったというんですか?」
「ええ、その様ですね」
「そんな馬鹿な…………」
「はい。私も沢山の患者さんを診てきましたが、ここまで重症化して患ったのは貴方
が初めてです」
「だって、実際に胸が苦しくなるんですよ?
それも彼女を見ただけで」
「ええ、話を聞いていて痛い程アナタの気持ちは伝わりました」
「で、貴方の場合は、
一目惚れが、恋煩いにまでなった。というだけの話です」
「……………………」
病名宣告 コタツの猟犬 @kotatsunoryoukenn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます