美男で美女で美ねえな名探偵よ💗

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

第1話

 これは、美男で美女で美ねえな名探偵の物語である。




 都市郊外のベッドタウン、尾根位町。

 この町では今、連続通り魔事件が発生している。

 被害者は皆女性。1人で居るところを後ろからカッターやハンマーで襲われて皆軽傷を負っていた。

 警察の検問や捜査も虚しく、6件の連続通り魔事件として、この町を恐怖に陥れていた……。


 夜9時、花屋敷通り。

 日中は咲き乱れる花々が眩しい洋館が立ち並ぶ通りだが、夜は人気が無く、街灯も少ない。

 カツカツカツカツ

 長身の女性が一人、そんな場所を歩いていた。

 線の細い足、長く滑らかな指、月明かりでも輝く黒髪。

 何の変哲も無いスーツにバッグという出で立ちながら、その美しさは目を惹いた。

 ザザサ

 だからこそ、通り魔はそんな女を見逃せなかった!

 手の中のナイフを握り締め、背後から女の背に突き立てて…

 「きゃっ!」

 小さな悲鳴が上がった。





 「はいはーい、そ こ ま で よ 。」

 ナイフを持った手がしなやかな白蛇に絡め取られた。

 微動だに出来ない通り魔はもがくが、絶妙な力加減で捕まれて矢張動けない。

 「っ!あんた、男!?警察!?」

 通り魔は自分が狙っていた、そして今、自分を捕らえた者を見て驚いた。

 涼やかで大きな瞳、美しいカーブの鼻筋、血色の良い頬に、月光に輝く唇の美男子がそこにいた。

 「失礼ね、私はおねえで名探偵よ。間 違 え な い で 。

 そして、やっぱり女子だったのね。」

 「どうして…」

 「前6件、襲われた女子は皆可愛かった。

 そして、皆軽傷。でも、盗みが目的じゃない。被害者達は知り合いじゃ無いから、無差別的怨恨ね。

 そ し て 、犯人は的確にチャームポイントを狙ってたのよね。

 だから、犯人は女子、狙いは可愛さの破壊。標的は美人。

 そして、全6件の犯行場所を中心として、円を6つ、地図に描いたら、6つの円が交わる場所があった。

 そこが犯人の拠点。

 あとは、私がその近くを歩けば 見 つ か る と 思 っ た の 。」

 「離して。」

 「嫌 よ 。」

 「あんたみたいなおネエや男に媚びる女達、あたしは嫌いなの!」

 「放す理由にならないわ。」

 「可愛い奴には解んないわよ!」

 「悲劇のヒロイン面すんじゃねぇ!」

 「っ!」

 「女の綺麗は努力と我慢の上に在るもの。

 その努力と我慢を踏みにじって被害者面?ふざけんな!

 男だって女だっておねえだっておにいだって、他人からお気楽に見えたとしても、苦しんで生きてるの!

 ブスな嫉妬でヒロイン面すんな!」






 これは、美男で美女で美ねえな名探偵の物語。

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美男で美女で美ねえな名探偵よ💗 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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