概要
妻が割れた。
第三回 こむら川小説大賞 応募作
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ワンアイデアをとんでもないところまで練り上げた佳作
ある日突然、妻が割れてしまった人のお話。
本当にこの通りの内容で、他にはどうとも説明のしようがないのがもうすごい。この「割れる」というのは読んで字の如くの意味、まるで陶器を床に落としたときのように、がちゃんと音を立てて粉々に砕け散ります。それも人間が、具体的には主人公の妻にあたる人物が、物語の冒頭から見事に割れてしまって、さて一体これをどうするか——というか一体何が起こったのかと、ひたすら困惑したり奮闘したりするお話です。
おそらくは、不条理系のホラーにあたる作品だと思うのですけれど、恐るべきはその練度というか料理の仕方というか、読み手をその世界に引き摺り込む手腕が凄まじい。主人公の視…続きを読む