第56話 健康診断で眼底が「E」だったので眼科医に行った件と睡眠障害の悪化?


「はーい、皆さん。こんばんはぁ」


「こんばんは」


「あら、まだやるの?」


「何しろ前回は私の事しか話していませんし」


「まぁ、確かに。じゃあ今回はアイツの近況でも話しましょうか。メンドクサイけど」


「そんな露骨に言わなくても」


「だって、ホントにメンドクサイんだもーん」


「まぁ、そう言わずに。ほら、ハーブティも用意しましたし」


「あら、気が利くじゃない。じゃあ、お言葉に甘えて・・・・」


「如何ですか?」


「うーん、まぁ及第点にしといてあげる」


「どれ私も」


「ちょっと、これはアタシの為のハーブティでしょ! アンタは水道水でも飲んでなさい!」


「・・・このアマ。3年前と一緒だよ」


「何か言った?」


「いえ、何も。それでは私は持参したコレを」


「えっ、なになに? その光り輝くペットボトルは?」


「私の田圃たんぼの近くの井戸水ですよ。ゴクゴクゴク・・・」


「・・・ゴクリ」


「ぷはーっ。やはり天然水は美味しいですね」


「・・・ちょっと飲ませなさいよ」


「嫌ですよ。コンビニで売ってる〇〇の天然水よりお美味しいんですから」


「仕方ない。譲歩しましょう」


「どのような譲歩ですか?」


「このハーブティと交換してよ」


「それは譲歩とは言えません。ただの要求です。譲歩とは自分の意見や主張を押し通さずに相手の意見や主張を認め互いの利益が一致する事、です」


「ちょっと、人を中国みたいに言わないでよ」


「貴女の態度は中国そのものですが」


「・・・判ったわよ。えーと」


「はい」


「アタシはアナタがお持ちの天然水を飲みたいと思っています。ですからアタシのハーブティと交換しては頂けないでしょうか? これで良い?」


「おぉ、こんな素直な貴女を初めて見ましたね。了解です、どうぞ」


「ありがと。それじゃ早速。ゴクゴクゴク・・・」


「お口に合いましたかね」


「ぷはぁ。何コレ!美味しーい!」


「気に入って頂けたなら何よりです」


「口当たりも良くて喉越しもすっごく滑らか!いくらでも飲めちゃう!」


「はい。正に大自然の恵み、ですね」


「いや、マジで美味しいわよ。この井戸水」


「ミネラルも豊富ですから身体にも美容にも良いみたいですよ」


「マジか! ねぇねぇ、この水なら売れるんじゃないの」


「また、そう言う下世話な事を」


「良いじゃない。どうせ井戸水なんだから。元手はタダだし」


「あのですねぇ。そんな売るほど汲み上げたら井戸が枯渇してしまいます」


「あら、そうなの?」


「そうですよ。地下水脈も、どれだけの量があるのか判りませんし。大体、そうやって無計画な事をしたから美しかった日本の国土が失われてしまったんじゃ無いですか?」


「ぐっ。悔しいけど、そう言われたら言い返せない」


「貴女もお飲みになった天然水。これは様々な自然の奇跡によって私の井戸に湧き出てくれたのです。そして、その奇跡のバランスはとても危うい。ちょっとした事でも崩れてしまうのです」


「わーったわよ。実際に自然と向き合って来た人の言葉は重みがあるわね。はい、どうぞ」


「何ですか?」


「何って、交換条件のハーブティよ」


「それでは遠慮なく。うーん、ハーブティはこの香りが命ですね」


「でしょ、でしょ。この天然水には負けるけどね」


「ホントに珍しく貴女が素直ですね」


「うっさいわ。3年も経てばアタシだって少しは変わるわよ。ふっ、認めたく無いものだな。このアタシの素直さを」


「また、何処かで聞いたセリフですね」


「だから、うっさいっての。今回はコレで締めて良いの?」


「ちょーっと、待ったぁ」


「何よ。まだ何か言う事あるの?」


「👆のタイトルについて、まだ何も触れてません」


「あー、アイツの話か。ホントにメンドクサイ」


「そうは言いましても」


「はいはい、やれば良いんでしょ。やれば」


「よろしくお願いします」


「えーっと今年のアイツの健康診断の結果が郵送されて来たんだけど」


「何か問題でも?」


「眼底が「E判定」だったのよ。真っ赤な文字で」


「えっ!「E判定」と言うと?」


「要治療。つまりただちに医療機関を受診しなさい、って事ね」


「それで受診はされたのですか?」


「まぁね。アイツは眼科医なんて行った事ないからネットで調べて受診したみたい」


「それで、どうだったんでしょうか」


「色んな検査をして眼の網膜の写真も撮ったみたい」


「はい、それで」


「全ての検査が終わってから医師の先生との問診になったの。その時に網膜の写真もパソコンの画面で見せて貰ったけど赤い部分がかなり多かったんだって。特に左眼。ちなみに赤い部分が正常では無い部分」


「うわ・・・それはマズイのでは」


「まぁ、そうね。それで先生が言うには「これで緑内障とは断定できませんから視野検査をしましょう」って事になったのよ」


「視野検査・・・あまり聞いた事が無い言葉ですね」


「そう? 緑内障や網膜剥離などの網膜損傷では誰でもやる検査らしいけど。ただね」


「何か問題でも?」


「予約が必要らしいの。ここでアイツの睡眠障害が問題になってくるのよ」


「睡眠障害は以前から、と聞いてますが」


「それがねぇ。睡眠サイクルがまた、おかしくなり始めてるんだって」


「はぁ」


「その日によって違うらしいんだけど、午前中の外出が全くムリな日もあるらしいの。ホントにメンドクサイヤツ」


「それで視野検査の予約は?」


「うん。先生の問診が終わって暫くしたら予約の係の人が来たから「私は睡眠障害なので午後からをお願いしたいんですが」って言ったら年内は既に予約でうまってるって。ちなみにこの時は11月末ね」


「うーん」


「でも12月1日の午前9時ならキャンセルが出ましたけど、どうされますか? って聞かれたのよ」


「・・・午前9時では流石に難しいのでは」


「そうよねぇ。でもソレを逃すと来年になっちゃうから受けたのよ」


「えっ!それは無茶かと」


「それはアイツもそう思ったんだけど、とにかく視野検査を受けないと治療も出来ない。失明する可能性もあるんだから」


「それで、どうなったんですか?」


「前日はいつもより早く睡眠導入剤を飲んで早く寝たわ。目覚まし時計もバッチリ8時に合わせてね。さぁ、運命の12月1日!」


「ドキドキ」


「目覚まし時計の音で眼が空いた。時刻は午前8時」


「おぉ、やりましたね」


「ところが」


「ところが?」


「脳は活動してるのに身体に力が入らない。起きなきゃ、起きなきゃと思ってるのに身体が動かない。「これが金縛りってヤツかな」と思いながら意識は遠のいて行く」


「はぁ、それで結局はどうなったんですか」


「ちゃんと眼が覚めたのは午前9時半過ぎ。その時は身体も動かせたから眼科医に電話して謝罪して来月の中旬の日の午後5時に予約を入れ直したわ」


「あの、ひょっとして」


「何よ」


「最初にキャンセルした人も睡眠障害だったとか?」


「確かにその可能性もあるわね。アイツは問診の時に先生に聞いたらしいわ。緑内障と睡眠障害は関係ありますか? ってね」


「先生の答えは」


「大いにあります」


「・・・さもありなん」







つづく・・・・かな


眼が痛い・・・・アカンやん






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徒然なるママ煮 北浦十五 @kitaura

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