満月を観ると現れる、アタシの中の別の人格。比喩ではなく、現実としての満月がアタシを惑わせる物語。そいつはアタシに語りかける。甘く囁くように、そして嘲笑うように。ふたりの言葉の応酬が思考を深め、物事の本質を突き詰めては、ブレない論理を展開していく。その様は、才女の高みに至る印象として深く、この作品のもつ妙味である。言葉の戦い。次会うときには負けないと心に決める。ふたりは別れても再会するだろう。きたる夜の満月を眺めて。