時代劇作品に新たな無頼ヒーローが誕生!

作者初の本格的時代劇というのが信じられないほど、練達の域の筆致。
時代劇特有の用語や言い回しをふんだんに取り入れているにもかかわらず、スイスイと読み進めていけます。
登場人物も主人公を始めとして親しみの持てる気持ちの良い人たちが多く描かれており、実際には暗いはずのストーリーが、それほど陰鬱にならず、読み疲れしないことも美点です。
クライマックスの立ち合い場面も、真っ向から斬りあいの魅力を描ききった迫真の描写でした。

とにかく全ての要素が高いレベルで噛み合った作品だと感じます。
長編も背負える器を持った主人公だと感じておりますので、次作もぜひいつか……。