「あいつ」に送ったあけおめメールの返信を待つ「私」のお正月の朝を描いた作品です。
年頃の女の子の、少し素直じゃない恋心が初々しく、微笑ましいです。
中でも、個人的に特に素敵だと思ったのが、語り手の感じる時間の流れが読み手側にも伝わってくるところ。
待つ時間の長さが手持ち無沙汰な姿や変化のない部屋の様子から感じられ、
一変、携帯が鳴り出してからのドキドキや焦燥も文章から滲み出ています。
語り手と時間の流れを共有できたことで、気持ちにも、とても近い距離で寄り添うことができました。
そして、その後に目にする幻想的な風景。
退屈とは別の、感銘によるゆったりとした心地よい時間が感じられ、語り手が抱いたであろう真新しい新年の気持ちを、また共有できたように思います。
ラストの焦りと喜びも、とても可愛らしく、語り手に「良かったね」と言ってあげたくなるような、素敵な作品でした。