ハッと

宇津喜 十一

日記

 はっと気付くと、空の上。


 私は布団に寝そべり、掛け布団に包まる。冬の外気は窓を越えて、冷気を齎す。足の先が彼らに取られるのではないかと、私は恐れた。

 体を丸める。掛け布団も毛布も全部、ぐるりと体を包んでいる。嗚呼これで安心ね。


 心臓は今にも飛び出しそうな程に跳ねている。腹に力が入らない。指は荒れている。笑わない口は、一文字に。筋肉が染み付いたポーカーフェイス。


 焦燥感が私の今日のお題。

 見て見ぬふりしてなかったことになる。それ以外の処理の仕方が分からないだけさ。現実逃避、逃げ続けられれば何かに行き着くとかないない。ただ、無力な羊が吊るされるだけ。

 肉は焼いて、血はソーセージ、毛皮はどうしようか。嗚呼、ほらまた、やってしまったね。キラキラした車が貴方を探してる。キラキラした誰かが貴方を笑ってる。


 箱の開け方を忘れてしまったから、私は箱を嫌う事にした。それで解決出来る事項などなく。私は箱を愛する事にした。それで解決出来る事項などなく。口先だけの実態が曝け出された。


 こんなんじゃあ、脳も体も要らないねぇ。


 嗚呼ここは空の上。巻き巻きの気流の内。今、落ちて行く。落ちて、落ちて、地面にまで落ちてしまえれば良かったのにね。


 二本足で歩く私は、違和感を覚えた。果たして私は二本足で歩いていたか。

 布団に包まる私は、息を止めた。

 齎される恵みは尽きた。ここからは冬の時代。溜め込んだ食料が無くなるのが早いか、私が飢えるのが早いか。

 何も食べたくない。何も得たくない。

 眠ったように消えていけたなら、望むものはなく。

 さあ、包まれ。包まって、その先はないんだよ。

 自分で歩かなくちゃ進まないのさ。だから、私は足を切り落とそうとしている。


 嗚呼、ここは空の上。包まる私は夜に浮かぶのだ。

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