宇津喜　十一

狭い路地を抜けた先にあるのは、鬱蒼とした緑溢れる喫茶店悔楽堂。そこの店主は、彷徨える魂を迎え、あの世へ送る役目を負っていた。 死とは理不尽なもの。やり残したこと、心残りなこと、そ…

トトフィガロはメイドである。可憐で純粋なメイドさんである。 そんなトトフィガロと、癖の強い城の住人達との日常のお話。竜宮城に住まう竜達には、人間とは違う様々な特性があった。トト…

目を覚ますと見知らぬ部屋の中に私はいた。無性に息苦しさを覚えながら、私は何故自分がここにいるのかを思い出そうとする。

地味な大学生活を送る私の前に現れたのは、自称死神の青年。彼は私の自宅に侵入した霊を追い掛けて来たと言う。付き纏うようになった彼と段々と仲良くなっていく中で、私は忘れていた記憶を思…

異なる事情からその地を訪れた男女は、偶然にも言葉を交わす。一人は思いを馳せて、一人は決意を固めて。恋でもなく愛でもなく、交わる筈のない糸が一瞬引っ掛かっただけ。朝になればするりと…

誰かに話し掛けられた。遠のく意識の中では、それを聞き取ることができなかった。彼女は一体何者で、何を話していたのだろう。それが心残りで、心惹かれる……。

年に一度、ある村では村人の中から生贄を一人選出し、茨の淵に植えられた薔薇に捧げていた。生贄に選ばれた私は、突然現れた荊に連れて行かれた見知らぬ場所で、不思議な少年と出会う。

探偵事務所の主たる私の元に訪れたのは、窶れた顔の男性だった。時計の呪いを解いて欲しいと言う彼と共に、彼の実家を目指すことにしたが、既に異変が起きていて……。第1章は全13話です。…

今日の私のとりとめもないくだらない話

私でもあなたでもなく、或いは私でもあり、あなたでもある誰かのある夜のひと時。

奏は紫陽花が好きで、近くの公園に咲く紫陽花を見るのを日課にしていた。そして、ある雨の日、ネコサンに出会う。

仕事の昼休み中に、突然謎の手によって黒い鏡の中に引き摺り込まれた橋場ナオ。引き摺り込まれた先にあったのは、黒魔術真っ最中な怪しげな洋館だった。ナオを探していたという謎の男の目的と…

男は駅のホームで電車を待っていた。なかなか来ない列車に待ちくたびれていた最中に、海岸に打ち上げられた何かを見た。 シンプルなホラーです。涼んでください。

彼女に顔はなく、名前もない。真四角の部屋の中で、響く反響音を聞きながら、失われたもの、手に入れたものに溺れていた。心情風景です。

少女みつるは、古物店「鬼灯堂」を経営する朝日奈と会話をするのがささやかな楽しみだった。そんな二人にはそれぞれ秘密があった。 器差とは、測定器が示す値と本来示されるはずの値との差…

更なる犠牲者を出さない為に、閉じ込められた人の日記とその記録。

男は墓の中にいた。彼は自分がそこにいる理由を探ろうと、記憶の中に迷い込んだ。

その人は気が付いたらそこにいた。そして、どこに行こうか考えていた。