第5話

ブティック オタク

一般人に比べてセンスのないオタクのために併設されたブティック。このブティックの良いところはそのオタクに合わせて現代のファッションにも通用するように合わせてくれるところにある。


「スライムはここが良いって言ってたよな。けどこんな看板の店こそ駄目だと思うんだけどな」


店前で入ろうか迷っていると女性の店員に声をかけられた。


「お客さん、オタク、もしくは家からあまり出ていないゲーマーですね」

「え?」

「うちの店は同類が来たら反応するような店員が多いんですよ」


どうやら置いてあるものは今風に近いファッションでありながら、店員は全てオタク、同類でも行きやすいように同類で固めてくる。まさにオタクの巣窟のような店らしい。


「見たところオフ会、しかもチャットで女っぽい声があって生半可な格好をして引かれたくないようですね……いや、普段ダメ着を着すぎて普通の服すら持っていない!」


なんか普通に店員のかけていたメガネがSF映画のような透過性のある液晶画面に見えるんだけど。


「私のダメ人間力は53万です」

「き、きさまあの一族か!」


こんなオタクな会話もできるいい店である。


「お客様にはそうですね。彫りの深いお顔なので……これと、これなんかがいいと思いますよ。試着室で着替えてください」


店員に促されるままに次遠軍総本部ジオングンソウホンブと書かれたフィッテングルームに押し込まれた。


「なんかアメリカで研究員やってた時買ってもらった服に似てるな」


シャーっという音共に大改装びほーあふたーの音楽が流れ始めた。


「こちらの試着室の鏡はカメラとなっていまして、変身なられた姿をご自分で比べることができます。


そう言われて鏡を見てみると着替える前の自分と着替えた後の自分を見比べることができた。


そして見比べてみると

元の恰好が白のTシャツにジーパンといういつかの時代を思わせる格好だったのに対して、服装を変えた後の恰好がカジュアルな茶色のジャケットに黒よりに加工されたジーンズを合わせることで彫りの深い日本人離れした顔も相まって外国人イケメンが出来上がっていた。


「お客さんカッコいいですよ!」

「ん、でいくら?」

「合計2万円弱に成ります。一応この店学割とかもやってるんですけどお客さんは違いますもんね」

「一応学割したらいくらに成るの?」

「店長の気分次第なんですが、店長はオタク力とは別に陰キャ力を見る眼をお持ちなのでオタク力と陰キャ力が高ければ高いほど安くなります。お店が選んだ商品なら最高95%OFFまでやったことありますよ」


何それ

と思わず言いたくなるような値引きだった。


「店長曰く9(リア)充5(こ)えろよって縁起らしいです」

「ジャイアントキリングだ。」


ガッ


無言で手を合わせるバウヒュッテと店員の後ろから現れた20代くらいの女性


「お客さん解ってますね。じゃあオフ会初めてのお客さん祝って45%OFF(せいこう)で提供します!」

「店長、辞めてください。今月ギリギリの黒字なんですから」

「えーいいじゃん」

「駄目です」


どうやら力関係は店員の方が強いらしい


「まあまあ、店長さんまたよらせていただきますんでそのときに値引きしていただければ大丈夫ですよ」


店員にウインクして答える


「店長、お客さんもこう言ってることですしもうちゃんと防犯カメラとか見といてください!」

「えー今のってアイムロボットの名シーンでしょう。あのしんz「はよ行け!」……マーちゃんのけち」


そんな会話を聞きながら服を購入していった。

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