第9話
まるで全身を締め付けられるような感覚にバウヒュッテは陥った。
しかしバウヒュッテは表情一つ崩さず会話を続ける。
「死辻さんは目が悪くて眼鏡をかけてるんですよね。確かに眼鏡を外した姿はとても死辻さんの印象とも合っていて綺麗だと思いますが利便性を考えるのならわざわざ慣れてないコンタクトに変えるよりも眼鏡の方が死辻さんの性格らしくっていいと思いますよ」
死辻さんはスッと眼鏡を元に戻し冥土さんは?マークを浮かべていた。
「ほら、死辻さんはFPSやるときも見た目よりも敵に見つかりづらい迷彩を選んだりするじゃありませんか」
「あーしーちゃん確かにダイヤモンド迷彩持ってるのにそれよりグレード落とした迷彩使うこと多いもんね」
「冥土さん、オフ会でリアルネームに関することは控えた方が……」
「大丈夫ですよスライム師さん、冥土からライブ配信の手伝いをするって聞いたときからリアルネームは明かそうと思ってましたから」
弁護する死辻さんの声を聴いたとき、全身を締め付けられるような感覚が強くなったような気がした。
「先にお飲み物をお持ちしました。スパイシービールとモンスターハーブコニャックです」
樽ジョッキに盛られたスパイシービールとモンスターハーブコニャックが運ばれてきた。
死辻さんのモンスターハーブコニャックはグラスでだが350ミリリットルは入るモノが3つ。
ちなみにモンスターハーブコニャックのアルコール度数は40℃と高めとなっている。
「一旦話を区切って乾杯しますか。じゃあこの出会いにカンパーイ!」
「乾杯」
「乾杯」
まるで某海賊アニメのように盃を鳴らす風景は童心を忘れない冒険者のようだった。
「っぷは!やっぱスパイシービールは美味しい!」
「もしかして冥土さんは普通のビールは嫌い?」
「ええ、私苦いの苦手でこのスパイシービールみたいにホップを使っていないビールが好きなんです」
「ベルギービールとかが有名だけどそこそこするよね」
ベルギービールは通販サイトでしか買えないモノも多く350mL缶で2~300円と普通のビールよりも高めのモノが多い。
「大丈夫ですよ冥土はVouTuberで稼いでますし一応お嬢様ですから」
「ちょっしーちゃん!」
「事実でしょう、めいちゃんこの間の最新ゲーム機だって関連会社の社長だからって私の分まで入手してきてくれたし」
「凄いね最新ゲーム機ってあれでしょソヌーの出したハイエンドクラスに匹敵するレートが出せるっていう」
最新ゲーム機器は予約殺到で既に3か月たった今でも在庫が無いという状況だがウシゴエカメラが正月に爆撃店舗販売したことでも有名だった。
「あ、スライム師さんも言ってください。こっちの方で取り寄せるんで」
「いや、俺は良いよパッドにあんまり慣れてないし、独占タイトルはやりたい気持ちあるけどそこまでじゃないから」
「そうですか……じゃあ配信について計画しましょう!」
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