第7話 死神の後始末
「その節はありがとうございます。」
女性は二人に深々と頭を下げた。
「私の名前はローズと言います。娘を産む際医者からは母体は持たないと言われていて、最悪産んだ時に顔を見れないと言われていました。なので貴方には感謝しています。」
そう言うと彼女はムエに向いもう一度頭を下げた。
「グリム、そう言えばなんでこの人死ぬ前に俺らが見えてたの?」
ムエがグリムに聞くとグリムは呆れた顔で答えた。
「死の間際には魂が体から離れかけるから見えるんだ。臨死体験の連中がこぞって死神の話をするのはその為さ。その所為で僕らのイメージが悪くなる」
そう話すとグリムはローズに問いかけた。
「それはそうと、先程のもう一つの理由と言うのは?」
グリムはムエがローズの寿命をほんの数分しか伸ばさなかったことを疑問に思っていた。
「それは、中途半端に伸ばして娘が物心ついて悲しむ人間を増やしたくなかった。そんなところでしょうか?」
そうローズがムエに問いかけるとムエは頭を掻いて続けた。
「それもあるけど、ただ単に後追いなんてのも目覚めが悪いって思っただけだ」
その態度にグリムは溜息をつきながら話した。
「そう言うことか。ならそうと初めから言えよ、そうすればあそこまで覚悟しなかったんだから」
そう言うグリムを尻目にムエはローズに石を渡した。
「このまま行っても良いけど、何なら娘さんの顔もう一回見てから行けば?すぐ行かなきゃ行けない訳じゃないから」
そう話した時、グリムの通信機がなった。
「はいグリムです、、、はい、、、わかりました。」
「グリム、どうした?」
電話を切ったグリムにムエが問いかけた。
「至急管理所に戻れって管理長がお呼びだと」
「まじ?」
ムエは青褪めた顔でグリムに聞いた。
「まじ」
「ではローズさん、我々はこれで。気をつけて行ってくださいね」
グリムはそう告げ頭を下げると項垂れるムエを連れて《時の管理所》へ向かった。
「なぁグリム?怒られるかな?」
怯えるムエを見ながらグリムは意地悪そうに答えた。
「当たり前だろう?きっと並のお怒りではないだろうね」
「お前ってホント嫌な奴だね、友達無くすぞ」
精一杯の嫌味を放つのがやっとなムエであった。
死神の日常 @TZOE
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