不遇と幸福,死と生について,壮大なスケールで.

 テーマはとても重く,序盤は主人公レーキの不幸な境遇に片目を逸らしたくなる展開.これが読み進めていくうちに変わっていきます.
 本人が受けてしまった「呪い」に反するように,周囲の人々を愛し,巻き込み,逞しく育っていく姿は,痛快でもあり,時に羨ましくもあり,多様な種族の人々(?)が織りなす楽しい場面もたくさん描写されています.特に,「呪い」について理解してくれる周囲の人々……特に伴侶の方の心遣いは胸を打たれるものがあります.

 最終章は「あれ? これで決着つけられるのか?」というくらいの静かな出だし……からの指数関数的にスピードアップする展開で幕を閉じます.これはハッピーエンドなのか? という謎を残して.この謎は,次のように言い換えてもいいと思います.皆さんの目で確かめてください.

「死の王は,死んでいるのか? 生きているのか?」 

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