第10話
俺たちは早急に焦げた部屋で作戦を確認した。
「俺らはこれだけでいいのか?ミノ?」
逆鱗丸が尾羽を手繰り寄せながらきく。
「ああ、あとはマイクでやる!」
ケリーは浮かぬ顔をしている。
「おい!ケリー!里心がついたんじゃないだろうな!?」
「うるせぇ、少しは感慨にも浸りたくなるさ」
「まだ刷り込みが効いてんのかよ」
逆鱗丸もいう。
「お前のお袋はミジタじゃねぇ。ただの雌鳥だぜ?」
ぐおがごごごご。がこぉん。
「来やがった!」
3羽で外に飛び出すと巨大な死鶏焼却炉に乗ったミジタが見えた!トサ・ドッグ・マンも数十匹率いている。
ぐおおおお!うがうううううう!ぐおっ!
唸りながら距離を詰めるトサ・ドッグ・マン!
「ケリー!!」
ケリーが飛び上がった!そして急降下しながら旋回し土佐犬野郎の頭を次々に蹴爪で蹴る。
最初の数頭はそれでよろめき始めた!だが全部は仕留められてねぇ。
俺と逆鱗丸で現ナマを放り上げると単純な奴らは飛びつき始めた!
さすがミジタの配下だ、こいつは楽だぜ。
「逆鱗丸!」「わかった!」
しゅるしゅるとトサ・ロングテール・マン逆鱗丸の尾羽が触手めいて伸び広がり、土佐犬野郎を団子にして絡めとり始めた。
いつのまにか集まったほかのトサ・ロングテール・マンもあるものは飛び、あるものは地上から尾羽でがんじがらめにトサ・ドッグ・マンを一網打尽にしていく。
「コケコッコオオオオオオォォォォ!」
これは?!東天紅の声だ!
ルースター・マン達は同じく雄叫びをあげた!
「コケコッコオオオオオオォォォォオ!」
時はきた!ミノはヘッドレス・マイクに飛び乗ると土佐犬男の団子に向かって炎を放った!
ぎゃぃぃぃ、キャアアァァンッ!たちまち黒焦げになるトサ・ドッグ・マン。
次だ!
逆鱗丸達は一斉に羽ばたき上空からミジタを狙い定める!
「やれ!!」逆鱗丸の一声で全てのトサ・ロングテール・マンの尾羽がミジタに迫る!
死鶏焼却炉は死んだ鶏しか焼けない。
なんの武器にもなってねぇ!こけおどしだぜ!
「ちくしょう!長尾鶏の卵をよこせ!」
みっともなくミジタが呻く。
「おい、ミジタさんよ」
ケリー!
まさか!
「俺を卵から取り上げたのはあんただったな。だがあんたは賭博をやりすぎた。鶏たちを苦しめすぎた!」
「ケリー!退け!」
ケリーは一発ミジタに蹴りを入れると飛び退いた!
「コケコッコオオオオオオォォォォ」
ヘッドレス・マイクの炎がミジタを包む。
あっけない最期だ。
「卵を…返せぇぇぇ…」
やがてその声も聞こえなくなった。
大量の採卵鶏、軍鶏、さまざまな鶏たちが走り寄ってくる。買収した養鶏場の鶏たちだ。
ミノ!さあ!
お前ら!俺たちは誰にも邪魔されない鶏の国を作るんだ!俺たちと来い!
貴重な長尾鶏の卵はトサ・ロングテール・マンに返すぞ!
「コケコッコオオオオオオォォォォ」
「コォォォオオオオ!」
「キケリキー!」
「カカレクー!」
俺たちは旅立った。
鶏の国を作るために。
完
ルースター・マン ウズ・弥七 @uzu850
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