第16話 迷宮の主

「誰だ!」


僕が辺りを見回したり魔力を探知しても怪しい反応はなかった。


『警戒しないでくださいよ。あなた様は私が尊敬する唯一の存在なんですから。』


ヘラヘラとした声だけが響いてくる。この【奈落の解答】では生存していて意思疏通が出来る存在は僕と叡智以外はいないはずだ。だから、こいつには気を許してはならない。


「目的は?」


『目的?ああそんなものがありましたね。たしか、疑問に答えるんだったけ?』


疑問に答える?ということはこいつは僕が知らない何かを知っているということだ。僕に答えてくれるやつは叡智と...


「【奈落の解答】の主か...」


『ご名答。私は、この迷宮の主であらやる知識を知り求める者。いまここに迷宮の四天王が討たれた。それにともない試練成功となり君は私になんでも聞く権利を得た。この私【奈落の解答】の主である【神理】に。』


よく分からないがこいつがなんでも答えてくれるらしい。


なら

「神のいる場所を教えてくれ!」


ぼくの本能か何かが言っている。どうして神様を探すのかは分からないが転生した理由でも聞きたいのか?


『ふむ。まだあなた様は未覚醒でしたか。神と会いたいという思いは、潜在意識が出しているのかもしれませんね。神と会いたければ強くなれ!この迷宮【奈落の解答】をクリアしたから相当な魔力を操ることが出来る。他の三大迷宮をクリアしたら力も膨大になり神から会いたがるでしょう。』


神と会いたければ迷宮を攻略しろということか。

欲しい情報は手に入った。後は神を殺すために強さもてにいれたいから迷宮を攻略するのは良いかもしれない。


「どうして神様の居場所を教えてくれたのですか?」


神様の居場所を知っているのも充分おかしいがぼくに伝えるのもおかしいはずだ。


『この迷宮をクリアした者に私が【解答】という力を与える契約で迷宮を強化しているから。と、表向きの理由を言っても納得されないでしょう。私の目的は迷宮に縛り付けた神をあなた様に殺して欲しいからです。』


お互いに共通の敵がいるから協力してくれるということか。


理由が分かったからもういいか。


「そういうことか。覚えておこう。」


『ありがとうございます。あなた様。』


「ぼくの要件は終わったからこの迷宮から出してくれないか?」


奈落の迷宮の四天王を討伐したからカーストの頂点はぼくだろう。だけど奈落から這い上がるのはかなりきつい。


『分かりました。彼女もついでに贈りましょう。』


彼女?どういうことだろうか。心当たりが全くないのだが

『では、さらばだ。神殺しを是非ともはたしてくれ。』


そういって目の前が真っ暗になった。


 ◆


『実に人類の希望になりそうです。あなた様の願いもきっと叶うでしょう。大地の魔法使い。』



――いえ殲滅の王でしたね。


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剛毅な武~家族に殺されかけたので復讐します~ 白マロン @siromaron

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