第3話 真実

女の子が玄関を開けた。その瞬間、中からご飯のいい匂いがして思わず唾を飲んでしまった。

「お母さんー!!お客さん!!お昼ご飯分けてあげて欲しいの!」

女の子が叫ぶと、中からお母さんらしきひとが出てきた。

「マイス、おかえりなさい。あら?新しいお友達かい?」



「うん!草むらで寝てたの!だから一緒にご飯食べようって!ねぇ、いいでしょ?」


「あーそうかいそうかい。いいよ、今日のお昼はいっぱいカレー作ったからね。たくさん食べていきなさい。」

そのお母さんは、優しい声をしていた。僕はその声が、何故かとても懐かしく思えた。だからその人の魔女のような服を見ても、前のイライラは全く湧いてこなかった。



そうして僕は、食卓へと案内された。















「ねぇ、君!!なんであんなところに一人でいたの?」


マイスが僕に問いかける。


「…迷子」


「そんなわけないでしょ笑

だってここクアマ国の端っこの方かもしれないけど、それでもシテン国から6キロぐらいは離れてるよ?いくら迷子でもそこまで来ないよ〜」


マイスがなんでもお見通しとでも言いたげな目で、僕を見てくる。次に別な嘘をつこうと思っていたが、この嘘もバレる気しかしなかった。正直に全て話してしまおうか、でもそれを話してしまえば、何かこの人たちに悪い気がして言えなかった。





黙り続ける僕を見て、マイスのお母さんは僕に言った。

「デルくん?だっけ?もしかして、それに私たちが何か関係してて言えない、とかってあるかい?もしそうだとしたら、正直に話して欲しいな。私たちは大丈夫だから。」






その言葉に僕は、自然と涙があふれていた。

「……うん、僕、シテン国に住んでたんだ。うちにクアマ国の男の子が水を分けてってきたから分けてあげて、それを両親に言ったら、出てけって。だから僕はあそこにいたの!僕は何も悪いことしてないのに…」

気づいたら涙と共に言葉もどんどんあふれていた。さっきまで元気だったマイスも心配そうな目で僕を見ている。思わず言ってしまった…大丈夫だろうか。ふとお母さんの方を見た。するとお母さんは、僕に同情するような、でも何か怒っているような表情をしていた。



「そうかい。やっぱりまだ続いていたんだね…。」







「えっ…続いているって何が⁇」


「………過去のあやまちだよ」











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真逆の世界に命を捧げて @adjtpjmx1334

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