建物のどこかに隠された「秘密の部屋」や「魔法のアイテム」を探索するといった、ギミック要素が大好きな読者様は、間違い無く心奪われる作品です!
探偵役と助手役「2人」で謎解きをするタイプの「バディミステリー」は、この著者様が最も得意とする分野で、他の著作においてもその類い希な手腕に感嘆がこぼれます。
バディものの魅力の一つと言えば、探偵役と助手役の会話劇です。コメディとシリアスの具合が実に絶妙で、会話の応酬のテンポが心地よいのが特徴! もしも私がヒロインの「アイビー」だったら、この2人のやりとりをながめながら、紅茶を二杯三杯、なんどもおかわりしちゃうでしょう。それくらいずっと眺めていたい。
バディものなのに「2は最初の不吉な数字」というブラックジョークがピリッときいた章タイトルも、本作におけるアピールポイントの一つです。不吉かつ不穏な予感をおぼえる出会いから「数」を通して謎解きが始まり、「偶然が二回続く」といった事象を通して、二人の絆が深まっていきます。
これから本作をお読みになる方は、各章のタイトルにも着目して、伏線回収の楽しさに気付いていただきたいです。「最初の不吉な数」→「不運な数」→「不運を逃れ」→「すべてのはじまり」として「3」の数字が与えられている意味が分かると、並外れたプロット構成力に吃驚します。
余談ですが、私は最初「横書き表示」で一通り読んだのですが、レビューを書くにあたりもう一度新鮮な気持ちで作品を味わいたいと思い「縦書き表示」にしたところ「横書き表示」よりも読みやすい印象を受けました。著者様の出版物を普段「縦組み」で読んでいるからかもしれません。個人的な意見ですので参考までに。
ホラー好きの方も、ミステリー好きの方も、ギミック好きの方も、どなたにもオススメしたい作品です。夏の休暇に一気読みも良いですね! ページをめくる手がとまらないですよ!