謎の多い展開と、綺麗な回収。

 この度は、自主企画へのご参加ありがとうございます。近況ノートへ頂いたコメントの通り、批評も含めたレビューを書かせて頂きたいと思います。
 まず第一に、作者様は小説を書くことに非常に慣れているように感じました。こういった企画をしていると、様々な作家様の作品を読ませて頂く機会がありますが、その中でも作者様は、より小説らしい文章構成、つまり基本的な技術力に長けていると思います。こういった技術は、簡単であるように思えて、誰しもが持ち合わせている力では決してありません。

 そしてその土台の上で、多くの謎を当たり前であるかのように描写し、読者に疑問を抱かせ、それを後から回収していくというような、ミステリーものによくある技法を上手く使いこなせていると思います。
 しかし一つ気になったことは、その謎を回収するまでのスピードです。私個人としては、これくらいのスピードでも別段気にはならないのですが、最近の小説、漫画、映画等の物語には展開が早く、わかりやすいものが流行るという傾向があるように感じられます。ですので、謎を生み出してからそれを回収するまでの時間を早めてもいいですし、それら謎の描写を更に増やして、それを読者により意識させようとしたり、少しずつ真相に近づくようにヒントを与えていくような手法を取ってみてもいいかもしれません。兎にも角にも、読者に抱かせる疑問は、よりわかりやすく惹き付けられ、誰の予想にも当てはまらないものが、その理想形であると思います。

 ここまで、拙いながらも私なりのレビューを書かせて頂きましたが、作者様の作品は、少ない評価や反応には見合わない、素晴らしいものだと思います。読者の反応と技術力や小説の良さは、必ずしも比例するものではないと思いますので、そこに関しては作品紹介や、あらすじ、宣伝の方法に関して試行錯誤を続けてみるといいかもしれません。そうすれば、いつか必ず、作品の魅力に気づく読者が増えると思います。

 それでは、ありがとうございました。

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