念願叶う

 見渡す限りの草原

「どう。これで」

「ああ。これだよこれ。俺が求めていたのは。すまなかったな。光線、吐いたりしちまって。六本木の人たちにも謝っておいてくれないか」

「うんわかった。謝っとく。まかせといて」


 二人の視線の先には町が見えた。ここでいろんな人に話しかけ、仲間を見つけるなり、冒険のきっかけになる出会いや事件に巻き込まれるなりして、思う存分異世界生活を楽しもう。主人公はそう思った。

「それじゃ、健闘を祈ってるわ」

 そう言うと菊坂は光に包まれ姿を消した。



§§§



 焦土と化した六本木では、自衛隊や警察官、ボランティア団体が被害にあった港区の人々に救いの手を差し伸べていた。


「あれか」

 白衣を着た男が六本木の空に入った亀裂を見上げていた。白衣の男の周りには同じ格好をした男女が何人かいた。


 空から光の雨が降り注ぐと、巨人の被害にあって負傷した人間の傷がみるみる治っていき、被害で亡くなった人間は生き返った。時間が巻き戻るかのように元の姿に戻る、崩れ去った高速道路、住宅、オフィスビル、六本木ヒルズ。

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君の正体は Strong Forest @strongforest

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