香煙の魔女と顔無しの騎士 〜Forest in the mist〜

作者 ぽんぽこりーぬ。

78

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★★★ Excellent!!!

ねえ、君。
憶えておいてはくれないだろうか。
この国に、悲しく美しい魔女がいたことを。
心優しき人が隠れ住んでいた森のことを。
人々の心が荒んだ時、枷は外れ、災いは起こった。
けれど君。
忘れないでほしい。
彼女は確かにそこにいた。
誇り高く、そして孤独に、昼と夜を過ごしていたんだ……。

★★★ Excellent!!!

森の中に棲む香煙の魔女の元へ、ノーフェイスと呼ばれるその騎士はやってくる。
彼が魔女に頼むのはいつもの煙草だ。現代におけるモルヒネを使ってまで彼が戦場に赴く理由とは…

9000字にも満たない短い話の中に一切のムダがありません。
短編というと、風呂敷を広げるだけ広げ取っ散らかって文字数制限に焦って最後に無理やり畳む…という作品が多いのですが(自分で言っておきながら耳が痛い)こちらの作品は最初から計算されつくしているかのように綺麗に収束しています。

また、登場人物の関係性がとても好きです。あえて俗っぽい言い方をするのであればとてもエモいのです。
魔女と騎士とお姫様。ここだけ書き出せばおとぎ話の登場人物のようですが、彼らが抱える心情を想うととても切なく胸が締め付けられます。
初見はどうしても魔女視点で追ってしまいますが、読み終えた後に姫からの気持ちも考えると――ここから先は読んでお確かめ下さい。

ドタバタした恋愛物に食傷気味な貴女におすすめしたい一作です。