悔しいけれど、最後まで読んでしまった。

ホームレスが人生逆転する話。
仕事の専門性を基にして書かれたヒューマンドラマを探していた僕にとって、この話は異質すぎた。
不覚にも参加されてしまった時、そもそも、ホームレスの仕事って何? 仕事してるの? という思いがあった。

ただ、冒頭を読み進めていくにつれて、僕の疑念は肯定に変わった。
面白いものが正義という信念に正直になるならば、僕はこの話を読まなければならなかった。

何が面白いかというと、登場人物みんな欲に忠実で、最初から結末まで、底辺が天辺を目指すというシンプルなストーリーだ。明らかにご都合主義や、登場人物の超才能もある。しかしながら、それが面白くないかと言えば違う。
上品な純文学だけが文学じゃない。面白さだけを詰め込んだ血の匂いのする作品も、文学だと思った。
読めば、僕たちを血に飢えたオオカミにする、そんな作品。