サッカーの試合3

「いけるっ!いけるぞっ!海斗ー!頑張れー!」


後半のアディショナルタイムで点数は一対一。応援している方にも熱が入る。


相手のチームは一個前の大会でウチの高校に敗れており、勝つために研究してきているらしい。エースである海斗も苦戦を強いられていた。


「あっ!」


とその時、海斗が相手のパスをカットした。そのままボールをゴールまで運んでいく。


「行けーー!」


俺達と同じく海斗のチームを応援している人達の盛り上がりが最高潮まで達する。皆、ボールから目を離せない。夏美さんも祈るように見つめている。


ゴール手前までたどり着いた海斗は大きく足を引く。


「決めろーーー!」





**

「海斗、お疲れ様」


「いい試合だったね!」


「母さんも翔も応援に来てくれてありがとう!」


試合の結果としては海斗のパスカットからのシュートが決勝点となりウチの高校は試合に勝利した。つまり地区大会は優勝したということだ。


「次は県大会かー」


「頑張れよ!俺も応援行くからな」


「うん!ありがとう!このまま県大会も優勝してくるよ!」


本当にこのままの勢いで行けてしまいそうだけどな…。


「海斗くんっ!お疲れ様!すごくカッコよかったよ!」


俺達が試合が終わった後の余韻に浸っていると中谷さんが海斗の方に駆け寄ってきた。


「中谷さんもありがとう!応援に来てくれて!」


「むーっ。千夏って呼び捨てにしてくれてもいいのに…」


「アハハ……」


なんか中谷さんキャラどんどん変わってきてるような…。いやもしかしたらこっちが素なのかもしれないが…。


「あっ!そうだ!試合も終わったことだし打ち上げでもしない?」


急に夏美さんがそんなことを言った。まぁ、確かに試合終わった後は打ち上げみたいなイメージがあるかもしれないが…。


「うん!やろう!僕の家で」


どうやら海斗も乗り気のようだ。


「わ、私も行っていいかな?」


「もちろんだよ!」


おお、本当にグイグイ行くね、中谷さん。


「ふふっ♪翔君も来るよね?」


「え?俺もですか?」


「もちろんだよ♪それとももしかして嫌だった…?」


……っ。そんな表情されたら行かないなんて言えない。


「行きます」


「ふふっ♪決まりだねっ!じゃあ私は翔君と打ち上げのための買い物行ってくるから、海斗は千夏ちゃんと先に帰ってて!」


え…?俺も買い物行くの…?なんで…?


「じゃあ、行こっか?翔君!」


そう言って手を差し出してくる夏美さん。まさかの手を繋ぐおつもりで…?


ヤバい、海斗助けて………ってもう帰っとるし…。


「流石に手は………」


「………繋いでくれないの?試合の前は繋いでくれたのに…」


…くっ!さ、さっきからズルくね…?その表情…。手を繋がない俺が悪いみたいな気持ちになってしまう…。


「あーーーっ!分かりました!繋げばいいんでしょ!」


結局俺の方が折れた…。多分今の俺の顔は真っ赤だと思う…。


しかし、夏美さんは少し不満そうな顔をしている。


「繋げばいいんでしょ!ってそんなに私と手繋ぐのが嫌なの…?」


さっきの俺の言い方が気に入らなかったらしい。


「い、いやそういうわけじゃなくて…。その…。夏美さん綺麗だし…、こっちが手を繋ぐのが恥ずかしいっていうか…」


「そ、そうなんだ…。えへへ…」


「そ、そろそろ買い物行かないですか…?」


スーパーに向かっている間、夏美さんはずっと機嫌が良かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

親友で幼馴染な彼のお母さん(バツイチ)が俺にグイグイくるんだがどうすればいい? ベランダ @shihihi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ