サッカーの試合2

「えへへ〜」


………なんでこんなことになってんだ?どうして夏美さんと手をつないでいるんだっけ…?


「………ふふっ」


あれ…?いつの間にか手に指を絡められて恋人繋ぎになってるし…。しかも何かめっちゃニギニギしてきてるし…。アカン…、何も考えがまとまらない…。


「あの……。夏美さん?もう手繋ぐのやめた方がいいんじゃ…」


「………」


「あ、あれ?夏美さん?」


あ、これ自分の世界入ってるやつや…。俺の声全く聞こえてねぇ…。表情筋緩みまくってるし…。


でも相変わらずニギニギは続けている。夏美さんの手柔らかいな…。肌もめっちゃサラサラだし…。ってオイ!何考えてんだ俺!


「夏美さん、夏美さん!戻ってきて下さい!」


「………はっ!ご、ごめん…。私ボーッとして…」


「いや、まぁ、大丈夫ですけど…。それよりももう少ししたら試合始まりますよ?」


「そ、そうだね!早く見に行こっか!」


というわけで俺達は試合が行われる場所へ足を運んだ。



**

「やっぱり来る時も思いましたけど、結構人いますね」


「うん。でもいくら地区大会って言っても決勝だからね」


地区大会とはいえ決勝ともなるとそういうものなのか…。まぁ、でも親だったら自分の子供の活躍を見たいと思うものだろう。


「あっ、海斗いましたね」


どうやら試合に向けて準備をしているらしい。入念にストレッチをしている。


もうすぐ試合も始まることもあって、両チームとも緊張感をもった顔つきになっている。


俺も聞いたことがあるのだが、緊張し過ぎはダメだが、ある程度の緊張感があった方が本番では調子を発揮できると。そういう意味ではチームの雰囲気は悪くないと言えるだろう。


「ふふっ…。なんかこっちまで緊張してくるね…」


「そうですね…」


チームだけでなく見ている人まで緊張してしまうところもスポーツ観戦の醍醐味だろう。


「ねぇ、翔君…。このタオル、首に掛けて欲しいんだけど…」


「タ、タオルですか…?はい…?まぁ、いいですけど…」


夏美さんから急に意味が分からないお願いをされた。え…?ガチでどういう意図なんだ?


「ふふっ。お揃いだね…」


そういえば夏美さんも同じタオルを首に掛けている…ってそれがどうしたんだ…?

あれか?応援のためにお揃いにしたかったのか?


「はぁっ…。タオル首に掛けてる翔君もいいなぁ…」


あれ?今何か夏美さんが言ったような気がするが気のせいか?まぁ、気のせいだよな。


そんなことをしている間にもうすぐ試合が始まるみたいだ。ちょっと気持ちが盛り上がってきた…。


ぴーっ!


笛が鳴り、地区大会の決勝が始まったのだった。

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