「明治」という時代だからこそ輝くストーリー

書籍版を読破してからカクヨム版を読みました。書籍版とカクヨム版に共通して言えること……「コレめちゃくちゃどストライクなストーリーやーん!」

随所に散りばめられた中二的ルビ、そして近代史好きにぶすりと刺さる文体や明治時代ネタ……もうこの時点でお腹いっぱいなのですがこの小説――明治SUB先生作品の見どころ「どんでん返しに次ぐ大どんでん返し」がこれまた凄い。まさに芸術、「鮮やかなり明治SUB」この一言に尽きます。

そして重要なのが今作の舞台である「明治」という時代です。書籍版の後書きでも先生がおっしゃっていましたが、制限だらけの封建的社会が廃され、文明開化により全ての日本人が初めて「自由」というものを知った時代、それが明治という時代です。「自由」というものを知れば自ずと「幅」が広がります。そうなれば人々――いや「大日本帝国」として生まれ変わった日本という国家も「大志」を抱くようになります。主人公である皆無の軍人(日本男児)としての「大志」と主との間に起こる葛藤と成長の物語はまさにこの時代だからこそ響き、映えるものだと思います。

書籍版、カクヨム版ともに時代背景を知らなくてもとても楽しめます。しかし、少しだけでもいいので明治日本について知っておくと、この作品をさらに奥深くまで楽しめると思いますよ。

最後になりますが2巻刊行おめでとうございます。発売日まで首を長くして待っております。

『二人ノ旅路《ものがたり》ニ幸在ラム事ヲ』