窮鼠育てた鬼と、仇討と。

 不思議な余韻の残るお話でした。江戸の市井のどこにでも潜む小さな茅鼠に見立てて、無力な少年を追い込んで、復讐鬼に育て上げた佐々木の胸中に鬼気迫る切なさを覚えました。藪の中に埋もれては消え、現れる茅鼠のぽつんとした姿が、印象深い余韻になって、いつまでも残るかのようです。