セッション内での情報の出し方について

この記事は TRPG 失敗談 / 成功談 Advent Calendar 2020 への寄稿記事です。

https://adventar.org/calendars/5318


◇◇◇


 今回は、どちらかというとシナリオを作成することが多い方へ向けたものになります。

テーマはそう、『セッション内での情報の出し方』について。


 セッション内で提示する情報と言えば、どんなものを想像するでしょうか。

各NPCの紹介、ダンジョンの基本的な情報、入手したアイテムの説明。

キャラクターのスキルや技能が成功した際に開示するもの。見つけた日記、資料の内容。

上げるだけでも様々な種類があるでしょう。


 GMが提示する情報は、セッションにおいて重要なものです。

ですが、出し方を間違ってしまえばPLの負担になり、セッションの難易度を上げてしまうことにも繋がります。


◇◇◇


 情報の出し方を間違う、というのは正しい表現ではないのかもしれません。

本来であれば、出すべき情報と別の情報を間違って提示してしまう以外には何もない筈だからです。

ですが、後から思い返せば『あぁ、この出し方は間違いだったなぁ』なんて思うことが多々あります。


 一番多いのは、自作シナリオに置いて『情報の量を増やし過ぎる』ことでしょうか。

例えば日記や資料。PLにとってはシナリオの考察において、重要なヒントとなる位置に置かれるもの。

逆に言えば、GMにとって『このシナリオはどういうものか伝えることが出来る』ものにも成りえます。


 故に、情報を詰め過ぎたのです。


 シナリオに過去関わった人物の情報。

 シナリオで使用した舞台の細かい情報。

 シナリオに関わっているPCの情報。

 最重要人物に当たるNPCの心情。


 それらを全て理解してほしくて、長々と書き連ねて提示しました。

確か、分割したとはいえ、合計で3000文字以上はあった筈です。

それを一度のセッション中で提示したのです。


 ……結論から言うと、長すぎて「要点だけまとめてほしい」「目が滑る」と言われました。

卓の後から「あのときの資料、殆ど読んでなかった」とも言われました。

Twitterのツイートで換算すれば140文字ぎっしり詰め込まれたツイートが、21個以上。

それだけの情報量をセッション中に読み込み、覚えるのは大変なことです。

テンションが上がってしまったとはいえ、申し訳ないことをしたと思っています。


◇◇◇


 最近ではPixiv、BOOTHなどで他の人が作ったシナリオなども出回るようになりました。

それらは情報量が程よく調整されており、情報の提示場所を間違えさえしなければ何の問題もないことが多いです。

しかし、自作シナリオにおいてそうはいきません。(テストプレイ等を重ねるのであれば別ですが)

どれだけの情報が必要で、どの情報は必要ないのか。作り手、強いてはGMの視点からは分かりづらいものだと思います。

エンディングまでの最短ルートが分かっているのもありますし、PC、PLが何を考えるか予想しきれないのもあります。


 何が必要か、に関してはシステムやシナリオによって変わるので断言しきれるものではありません。

 ですが、少なくとも『シナリオの背景に深く関わるもの』はどのシステムでもそれほど必要なものではないと思います。


 シナリオの作り手の立場として、『シナリオの背景を理解してほしい』という気持ちがある人もいます。

ですが、それをセッション内で明かしきる場合、情報量が膨大になり、PC、PL共々混乱してしまう原因にもなります。

そうなるとシナリオ自体が思うようにいかなくなり、GMである自分自身の首を絞めてしまう……なんてことになりかねません。


 そういったことは、セッション終了後に話してもいいのです。

もちろん、終了時刻が遅くなったときに無理に話すのは良くないことです。

セッションが終わってひと段落した数日後に、PLのみなさんへ「このシナリオの背景なのですが……」と話し出す。

シナリオの背景を話すことに、嫌な顔をする人はいないでしょう。興味がない人はいるかもしれませんが。


 しかし、セッション中に織り交ぜて伝えるよりはずっと齟齬もなく伝えることができると思います。

 アフタートークのネタにもなりますからね。


◇◇◇


 GMが気をつけていても、情報量が多くなってしまうこともあります。

短くまとめた情報だけが良い訳ではありません。必要な情報が多いこともあるでしょう。

極秘の研究をしていた場所に残っていた資料が三行で終わるようなものばかりではありません。

(GMから大雑把に三行でまとめることもあるでしょうけれども)


 そんなとき、PLの立場だったなら。

ゆっくり読み解き、理解する時間が必要となるでしょう。

遠慮せずにGMへ「ちょっと待って」と言ってもいいのです。


 無理に進行するよりは、きちんと読み解けてから進めた方がシナリオ内での齟齬は少なくなります。

当然時間は掛かってしまうかもしれませんが、齟齬に気付いた後の修正の時間や、そのときの心情などを考えればよっぽど良いと思います。

また、GMの立場としては、頑張って準備したものを流し読みされてしまったら悲しいですから。



 そういった面も気をつけて、余裕を持ってセッションの予定を組んで遊べるのが一番いいと思うのです。

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TRPG 失敗談 / 成功談 Advent Calendar 2020 寄稿記事 たまがらし @TamagrashI

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