TRPG 失敗談 / 成功談 Advent Calendar 2020 寄稿記事
たまがらし
TRPGにおける体調管理について
この記事は TRPG 失敗談 / 成功談 Advent Calendar 2020 への寄稿記事です。
https://adventar.org/calendars/5318
◇◇◇
健康管理が特に重視されたこの一年、皆様はどのようにお過ごしでしたでしょうか。
学業や仕事とTRPGのセッション……つまり、卓がうまく両立できずに体調を崩してしまった方や、両立させようと、無理をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「全然両立出来てるし、風邪知らずだよ!」
「きちんと体調には気を付けているし、具合が悪くなったときにはきちんと休むことが出来るよ」
そんな方には、この記事は不要であるかと思います。
何かを両立させるということは、現代社会において当たり前に求められることですが、中々難しいことです。
出来て当たり前だろう、と考える方もいらっしゃるでしょうが、実際問題それが難しいと感じる人間もたくさんいます。
また、両立が難しい人の中にはこんな方もいます。
「卓で使用する立ち絵等の準備に追われ、睡眠時間を削っている」
「少し体調は良くないけれど、今日の卓は日程が合いづらい人たちとの卓だから休みたくない……」
「具合が悪そうなのに無理して参加している同卓者さんがいて、どうしたらいいんだろう」
この記事は、そんな方々にこそ目を通してほしいものです。
◇◇◇
TRPGは、遊びの一つです。
具合が悪いときに、無理をして遊ぶ必要はありません。
「具合が悪くとも遊びたい」という気持ちもよく分かります。
ですが具合が悪いまま遊んでも、うまくいけば何の問題もないかもしれませんが、何か大きな失敗をしてしまうようでは目も当てられません。
例としては、以下のようなものでしょうか。
・体調不良によりセッション内での判断力が低下する
・精神面が不安定となり、些細なことでGMやPLと要らぬ衝突を招きかねない
・キャラクターのRPも不安定となり、そのキャラの本来の持ち味などを表現しづらくなる
・待ち時間中に眠ってしまい、そのまま寝落ちてしまう
・卓の当日はよくとも、翌日の生活や次のセッションに支障をきたす
ちなみにこれは全て、私の実話です。
判断力が落ちたことにより、GMからの慈悲がなければPCが全滅してしまうような卓になりかけたことがあります。
精神的に不安定になったせいで些細な会話に腹を立て、卓とは関係のないところで揉めてしまったことがあります。
本来とは違うRPをしてしまい、他のPCから不信感を買ったり、連携が取れなくなったりしたせいでGMを困らせてしまったことがあります。
満足な睡眠時間を取らないせいで、描写の待機時間中に何度も寝落ちてしまい、卓の日数を伸ばしてしまったことがあります。
体調不良を押し通して卓をし続けたせいで限界を迎え、2、3週間ほど全ての卓の参加を取りやめたことがあります。
…………地獄のようなラインナップですが、これ、全部実話なんですよ。怖いでしょう?
参加していた卓の関係者の方々にはかなりのご迷惑をお掛けしました。本当に申し訳ないです。
◇◇◇
上記のようなことにならないためには、どうしたらいいのか。
本人の健康管理や、自分の不調に気付くことも大事ですが、それ以外にも『周囲の人々の働きかけ』があると良いのではないかと思います。
他力本願という訳ではありません。言うならば『思いやり』であり、『参加者が体調不良になった際の対応を考えておく』ことです。
どれだけ気を付けていようと、具合が悪くなるときはなります。
生きている以上、それは仕方のないことです。そうなってしまったら諦めて休むしかありません。
ですが、1日分卓が開催できないと日程調整が辛くなり、次の卓までに間が空いてしまう……。
そんな状況である場合、『具合が悪い』と言えるでしょうか?
きちんと主張できる人もいるでしょう。
ですが、主張できず『自分が我慢すれば』という考えになってしまう人もいるのです。
言えないまま当日になり、無理をして、卓で失敗してしまう。
そして後から『あの時休んでいればこんなことにはならなかったのかな』と考えてしまう。
……極端な例ですが、無い訳ではありません。
それを防ぎ、皆で楽しく遊ぶためにはどうしたらいいのか。
そう考えたとき、少し工夫が必要なのは、GMもしくは日程調整者の『確保日程』です。
例えば、シナリオに想定された日数きっちりで全員の日程を確保したとします。
何事もなければそれで問題ありません。ですが、誰かが体調不良になったとき、必然的に日数が足りなくなります。
そうして後でまた日程調整をして……という手間も時間も掛かってしまいます。
だからこそ『シナリオに想定された日数以上の日程』を確保できれば、余裕ができます。
『一日は休んでも大丈夫』という共通認識があれば、『具合が悪いので休みたい』という主張もある程度しやすいと思います。
日程に余裕があれば、一日はきちんと休んでみて、それでも具合が良くならなければまた別の日程にする……ということが出来ます。
何事もなく、想定日数で終わればそれでもいいのです。
余った日程が無駄になると感じる人はいるかもしれませんが、その日は各自の自由にすればいいだけのことです。
卓の思い出を振り返ってもよし、ゲームをしてもよし、何もすることがなければ次の日に備えて休んでもよし。
日程が余って、悪いことも困ることもありません。
◇◇◇
体調不良にならないためには、十分な睡眠も必要です。
RPや描写に力が入り、眠気が吹き飛んで、いつまでも卓を続けてしまうこともあるでしょう。
翌日、本当は早く起きなければいけないけれど、遠慮して「もう眠りたい」と言えないこともあるでしょう。
ですが、睡眠不足は体調不良や精神の不調にも繋がります。
また、眠気で判断力が鈍り、謝った選択を選んでしまう可能性だってあります。
私は夜型のTRPGプレイヤーですが、自分がGMのときには卓が開始してから1、2時間程経った頃に「今日は何時まで起きれる?」と聞くようにしています。
参加者が「○○時まで卓が出来るよ」と言ったのに合わせて描写の調整をしたり、シナリオのどこで切るか考えたり。
また「何時でもいけるよ」と言われた際は、キリの良い所まで進めることもあれば、シナリオの先の大まかな流れを伝えて「ここまで行きたいんだけど大丈夫?」と聞くこともあります。
そうすることでぎりぎりまで時間を引き延ばしてしまったり、本来眠らなければいけない時間以上に卓を長引かせてしまったりすることもありません。
卓の開始から1、2時間後に時間を聞くのは、翌日の日程を考え、自分の眠気と相談しやすいからです。
開始時は良かったけれど、卓をやっている内に思ったより疲れていたせいで眠くなってくる……ということもあるので。
自分の中では結構お勧めの確認方法です。
他にも色々とありますが、一纏めにすると『具合が悪い、と参加者に言える環境』であるのが一番いいのかなぁ、と思います。
少しでも具合が悪い、もしくは悪化したと自覚した時点で言えるとなお良いのではないでしょうか。
TRPGはあくまで遊び。
楽しく遊ぶためにも、健康には気を付けたいものです。
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