第6話 自分に見えたもの
この何十年、本当に大変だった。
妻として
嫁として
母親として
仕事という社会の一部として
1人でこんなにもたくさんの役割を
乗りこなしてきた。
どの役割も、ものすごくエネルギーを使った。
まだまだこの先も続く。
疲れきってしまった自分に見えたもの。
それは、
他人にばかりエネルギーを使っていると、
毎日少しずつ自分が削られていき
最後は自分の感情が消えていく。
それをそのまま放置し続けるとどうなるか。
自分のことがわからなくなる。
笑うことができなくなる。
なにが好きで、なにが楽しいのか。
残るのは喜怒哀楽の中の「怒哀」な部分だけが色濃く残る。
日々の生活の中で自分の意思では
切っても切れない人間関係もある。
途中でやめてしまいたい役割があっても
やめることができないものがある。
そんな中でも、自分をなくさないためには
どうするか。
自分基準で日々の選択をしていくこと。
義理の両親とのやりとりが面倒なら、
必要最低限にしてしまう。
過剰な連絡や、無理な提案にも、
良い嫁をやろうとするのではなく、
自分が対応したいか、したくないか。
でいい。
その気持ちを夫に正直に言えばいい。
決して、相手そのものを無視して
傷つけたいと思っているわけじゃない。
本当に有難いと思うときには、
自分が礼を尽くしたいと思うときには、
しっかりと真摯に対応する。
それぐらいのメリハリがあってもいいじゃないか。
だって、この付き合いは長いこと続くの
だから。
良い嫁のフリは、いずれ身を滅ぼす。
母としての役割に疲れた日があるなら、
三食のうち、一食くらい栄養バランスを無視
して、冷凍食品やインスタントものだけのときがあってもいい。
一日をトータルで見て、それなりに食べていればいい。
他にもやめられるものは、
どんなに小さなことでもやめていこう。
自分の勝手なイメージや思い込みで作って
しまった、自分が苦しくなる悪い習慣は、
自分で壊せるんだ。
どんどん壊して、古い価値観、習慣を捨てて、
自分の中の余白、スペースをどんどん自分のために空けてあげなくちゃ。
他人のために使っていたスペースを、
これからは自分のためのスペースに使うんだ。
ゆっくりする時間。
自分のやりたいことを考える時間。
趣味の時間。
自分が楽しめる時間。
自分が解放される時間。
そうやって、今まで自分で縛っていたもの、
我慢して、置いてきてしまったものを、
ひとつずつ丁寧に取り戻していくんだ。
ずいぶん遠回りしてしまったけど、
気がついたときが、変化のときだと思う。
この暗くて苦しかった遠回りも、
きっとわたしには必要だったんだと思う。
この経験があったから、自分のこと
本気で大切にしてあげないとって思たんだと思う。
疲れきった自分を、これからは自分が
ひとつずつ癒していこう。
疲れ切ってしまった自分に見えたもの 月夜のねこ @shiawasenojikan63025
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