思わず唸ってしまうほどの短編

遺書をテーマに扱っているからと言って、読むことを躊躇うことなかれ。

本作は自殺という重いテーマを扱いながら、必要以上に悲壮感を煽ったり、沈鬱にしたりすることをしない。むしろ、その精緻な文体には美しさすら覚えるほどである。

内容についてはあえてここでは言及しない。というのも安易な要約を拒むほどに物語が練り上げられている他、何がネタバレになるかわからないからである。

ただ、間違いなく言えるのは読んで決して後悔しないということだろう。なるほどな、と唸る事間違いなしの名作である。