この金平糖がなくなる頃に、きっと会いに来てくれる。

 主人公は、体が弱く、アレルギーも沢山ある女の子。それなのに病院が嫌いで、両親を困らせていた。そんな女の子の前に、同じく病院通いの少年が現れる。彼は金平糖の入った瓶をくれて、その金平糖がなくなる頃にまた会おうと告げる。しかし、その少年の傷は、あってはならない場所にあった。そして彼の中にあった焦燥。それが、くだらない大人になる前に、逃げなくては、というものだった。
 主人公は虚弱体質を改善させ、元気に高校に通うことになった。アレルギーはまだあるが、幼少の頃に比べると元気で明るく成長した。星が好きな少女は、潰れかけの天文部に入る。そこで、少年とよく似た先輩と出会う。しかし、天文部が潰れかけていたのは、天文部の問題少女だった。彼女は入部してきた人間を追い出し、主人公にも辛く当たる。そして少女は主人公が心の寄り場にしていた金平糖を、ばらまいて、池に容器を捨ててしまう。そこに助けに入ったのが先輩だった。しかし少女もただの悪人ではなく、主人公にできる限りのお菓子を持ってきてくれる。
 そんな中、主人公はクラスメイトに天文部の入部希望者を発見する。しかし、そのクラスメイトは主人公を弄んだだけだった。それに対して先輩は怒る。
 主人公に対して優しい先輩は、もしかして、タイムトラベラーなのか? あの時の金平糖の少年が、会いに来てくれたのか。悩む主人公に、先輩は告白をする。その告白は、恋愛的な告白と同時に、少年の秘密を暴露することでもあった。
 
 天文部の復活と恋のゆくえ。
 そして、少年少女の痛みと苦しみ。
 自分の星座が嫌いな主人公の選択は――?

 是非、御一読下さい。

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