第2話 死神の生まれ方と死に方

こんにちは、死神です。


死神は、みんな似たような姿をしています。灰色の髪に灰色の目、衣服も灰色です。腰には、魂を切り取るための、小さめの鎌を下げています。背中に翼が生えていますので、たまに天使様と間違われます。

私たち死神と天使様は、生まれ方に少し関係がありますので、そのせいで似ているのだろうと思っています。


天使様は、神様が炎からお創りになられました。他のどんなものより清浄なものですから、常に天にいることができるのです。

では死神はと言いますと、灰の中から生まれます。灰ができて、すぐに生まれるわけではありません。炎が消えた後、すっかり冷えたその灰から飛び立ちます。担当する人間は、どんな炎によってできた灰から生まれたかによって決まります。


暖炉の灰から生まれた先輩は、徳が高いとは言えないまでも善良で穏やかな人間を。

山火事の灰から生まれた同期は、人間以外の陸に住む動物を。

戦火の灰から生まれた後輩は、人間に殺された人間を。

そして私は、火葬場の灰から生まれました。


全ての灰が死神を生むわけではなく、その時々で生まれたり生まれなかったりします。基準としましては、担当の死神が足りているか否かです。


死神も死にます。死ぬというより、消滅といったほうがいいかもしれません。

必要以上に天に居過ぎたり、許可もなく上位の天使様と話したり、連れていくべき人を故意に見逃したりすると、灰のように崩れて消えてしまうのです。

そうなると、当然死神の数が足りなくなりますから、灰から新たな死神が生まれてくるのです。


今日もどこかで死神が足りなくなったらしく、私が連れて行った人間の灰から、新しい死神が生まれたのが見えました。

規則は守るもの。何故、わからないのでしょう。

不思議に思いながら、今日も仕事に励みます。

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初めまして、死神です。 菅野アスカ @52632740

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