君への愛を囁くも君の内臓脂肪が邪魔をする
白川津 中々
■
酒の席でデブの女しか愛せないとの旨を述べたところ大変なバッシングをくらった。
男連中からは異常性趣向者扱い。女連中からは身体しか見てないとのレッテルを貼られ現在絶賛総スカン中である。相当堪えた俺は休憩にも傷が癒えず、、つけっぱなしのテレビから流れる言葉も理解できないほど思い悩む。
それにしても、デブが好きというだけでこれほど叩かれるものだろうか。巨乳や細身が好きと言えば分かる分かると共感が得られるというのに、どうして肥満趣向だけが異常者扱いされるのか分からない。そりゃ当然性の癖が絡む事も否定できない。だが、そんなものは巨乳も細身も同じではないか。それがどうしてこう差が出るのか。だいたい俺は身体だけではなく、デブの愛嬌というか、丸々とした愛くるしさにトキメキを感じる部分も大いにあるのだ。しかしそれを話したら最低だとか本人は悩んでいるだとか上から目線だとか女はペットじゃないだとか精神的に優位に立とうとしているだとか気持ち悪いだとか罵詈雑言の雨嵐。いったいどうすれば正解だったのか皆目分からん。この世はデブ専の敵だらけなのだろうか。なんともさもしく排他的な世界だ。多様な価値観を認めようという風潮が欺瞞でしかないというのであれば、それは大変遺憾である。現代が未だ人間個人の意思を蔑ろにする社会を継続しているのかと思うと、今を生きる事自体が虚しく感じられる。
ふとテレビを観るとデブな女芸人が自虐的に自身の体躯と体重をネタにしていた。君は綺麗だよ可愛いよと呟いても彼女には届かない。厚い脂肪が遮断しているのだろかと馬鹿な冗談を思いながら、俺は女芸人の笑顔を見て一人顔を溶かした。
君への愛を囁くも君の内臓脂肪が邪魔をする 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます