勝負だ犬千代!!

あの後誤解を必死にとき鍛錬に参加した。

昨日いなくて初めて見る人もいたがあって早々「女子らしい見た目で殿に取り入ったのか。」など馬鹿にされた。

こいつ俺にうらみでもあるのか。

見下してきたやつを試合でぼこぼこにしないまでも勝つことにより渋々ながら認めてもらえた。

名前? 

そんな奴の名前なんて覚えるか。

さて小姓である俺の仕事内容を確認しておこう。

戦の時は、殿の護衛や、殿の身に危険が起こったときには身を挺して守らなければならない。

平時の時は、今でいう秘書のような役割を果たすそうだ。

もう一つの仕事は噂程度しか知らないが、殿の相手をするらしい。

例として説明すると遠い場所に戦に行くと仮定しよう。

そうすると当然女性を戦場まで連れていくことはできない。

しかし、どうしても男ならムラムラしてしまう。

そこで小姓で女子に近い見た目をしているものが相手をするそうだ。

史実でいう史実だと俺の息子になる予定の森蘭丸が有名だろう。

なんか俺、殿の相手ルートまっしぐらじゃね!?

俺はそんな趣味ないし、やりたくもないぞ。


そんなことを無駄に心配しながら(後で知ったことだが俺が仕える前から相手をする予定の人はいたらしい。)一年みんなと鍛錬に励んだ。

鍛錬だけじゃなく秘書的な仕事もちゃんとしたぞ。

やはり俺は前世の記憶があるせいか他の人よりも仕事ができたが。

だてにブラック企業で働いてたわけじゃねえんだぞ。

一年の間に大きな出会いをした。

犬千代に紹介されたんだが藤吉郎という名前らしい。

藤吉郎ってのちの天下人の秀吉のことか?

確かそんな名前だった気もするがまあ仲良くしておいて損はないだろう。


そんな出会いもありつつ一年鍛錬に励んだ俺たちだったがとうとう鍛錬の成果を試す時が来た。

戦だ。

事の経緯は織田信友、尾張下四郡の守護代が尾張守護の斯波義統様を殺しちゃったことが発端らしい。

それで殿が織田信友を倒すために今から清州城を攻めることになった。

ちなみにもともと殿と守護代家である大和守家は仲良くなかったらしいが、守護代家のほうが格は高い。

だが守護様が殿を支持していたらしい。

それに腹を立てた大和守家のひとがざくっと殺しちゃったということだ。

殿に大義名分があるけどこれってただ単に勢力を広げるためのチャンスだよな。

これから殿の天下取りへの戦が始まっていくと考えると一層やる気が出るな。


そうだ。

いいこと考えた。


「犬千代。」


「なんだ。」


「俺とお前の実力は同じくらい。どちらが上か決めるためにこの戦でどちらの方が大物とれるか勝負しないか。」


「お、それいいな。乗った。これに負けた方が酒をおごるってのはどうだ。」


「おお、いいぞ。」


犬千代やほかの同僚と話しているうちに戦場にたどり着いた。

いっそのこと相手の対象である信友の首を狙ってみるのもいいかもな。

いや、そもそも会うことすらないかもな。

殿の近くにいなきゃならないし。

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二度目の人生は寿命まで 九鬼嘉隆 @kukiyosjitaka

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