第3話 5分前

「あの二人、どうする気なんだろう?このまま卒業しちゃうのかな?」

「俺の予想だと、今日、絶対どっちかが告白するぜ、」

「だよなぁ~、一週間前からみんなそう思っているのになぁ~、早く言え、早く言え、って」

「あの二人、自分達だけだぜ、お互いに好きだってこと分かってないの、いつも見つめ合っちゃって、周りから見ていると恥ずかしくなるくらい、すでに熱々なのに、自分たちは気が付いていないんだもん、見ていて疲れちゃうよ、早くカップルになって欲しいよ」

「ホント、みんな応援してるんだからさ、あと一息、どちらかが少しだけ勇気を持ってくれればな」

「そらそら、そう言ってたら、その二人がそれぞれ別の方向からやって来たぜ。ほら、また、お互い遠くから見つめ合っちゃって、近づいているぜ。あれ?でも、二人とも、いつもの熱い眼差しと違くないか?真剣な目付きだぜ、これはヤバい!本当に行くぜ!告白タイムだ!」

「おいおい、いいか、誰も二人に近づくな、寄るんじゃないぞ、そーっと周りから見守ろうぜ、学校に入るまでの5分間で愛の告白をさせるんだ。」

「おもしれぇ、知らんぷりしながら、そおっと聞き耳をたてちゃおうぜ」



「おはよう、俺たちの高校生活、最後の日になっちまったな。淋しいな。あのさ、俺さ久美子に話したい事があってさ、」

「おはよう、ホント最後の日だね。淋しいね。あら、そうなの、私も裕輔に話したいことがあるから裕輔の話の後で話すね。学校に着くまでに私の話も聞いてね。お先にどうぞ、なに?」

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学校まであと5分 AWA @AWA

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