研修旅行 2

それは無意識にやっているのか、それとも意識的にやっているのか。栄西家の皆にきいて見なければ分からなかった。


心情声はプライバシーであり、尚更なにも言えなかった。


「きいたよ〜、明日宿泊研修なんだって〜」

「研修旅行って言っても近場なんですよ」

「俺らも明日近場で研修旅行があるんだよ〜」

「えっ!どこら辺ですか?!」

「んーとねぇ、横浜だったかな〜」

「私の学校も横浜で研修旅行です、もしかしたら会えるかもしれませんね!!」


うとうととする耀と、はしゃぐ紅天をみてニコニコと微笑ましいと思う真紘。


「そうだね〜。もし会って麗緒一人だったらよかったら話しかけてあげてね〜」

真紘まひろさんは一緒じゃないんですか?」

「俺は停学期間だから行けないんだよね〜」


停学…?何かの聞き間違えですかね。


「停学?」

「うん」

「えっ?」

「ん?」

「えぇ?!」


私、なんてオーバーなリアクションをしてしまったのでしょう…。


これが一般回答である。紅天の声でうとうとときていた耀もびっくりして目が覚めた。

あまりにもニコニコして言う真紘と台詞が一致していなく紅天はびっくりしたのだった。


「何、どうしたの?」

「耀くんっ、真紘さんが停学って知っていましたか?!」

「え…?聞いてないんだけど」

「うん。今初めて言った」


今も尚、ニコニコして言う彼の心情声はこうだった。


(紅天ちゃんすごく動揺してるな〜。耀くんのびっくりした顔久々にみるな〜)


「あ、あの…!良かったら話して頂けませんかっ?!」


私、なんて烏滸おこがましいことを…?!


「良いけどきいても面白くないよ〜。むしろ引いちゃうかも」


苦笑いして少し重げな口を開いた真紘。


「男…一発思いっきり殴っちゃったんだよね〜」

「真紘、なんでそんなヘラヘラしてんの」


耀はいつになく真剣にきいた。


「ごめんごめん〜。自分がアホらしくて、ついね〜…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

てんとう虫と超能力者たち 2 なかたろう @nakataro_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る