エピローグ!
あれから大忙しでした。
獣人達の集落とドワーフの住む洞窟、そしてエルフの住む深遠の森を直線で繋ぐと、ちょうど三角形▽になっていたのに気付いたシオンは、その中心に【城】を建てる事にした。
まず、道を繋ぐ為にえいやっ!と気合いの一閃を飛ばすと木々を抉り、真っ直ぐな道が出来た。側で見ていた獣人、ドワーフ、エルフ達は口が裂けるかというぐらいに口を開けて呆然としていた。
「どうしたの?これぐらい普通に出来るでしょう?」
「「「できねーーーーーよ(わ)!!!!!」」」
と、ツッコミを受けつつ道を石畳で整備していった。これは獣人達がやってくれた。
各集落からの物流が正常になったことで、その中心地の【城】はドワーフ達が建ててくれた。
人数が少ないので小さな砦ぐらいの大きさだが、掃除が大変であるし物流の拠点として城下町として栄えていく予定であった。
そして城の装飾品はエルフが細かい細工品や家具を作ってくれた。この城は各種族が協力して作った事により、もっと交流を図るように手配したのはシオンであった。
こうして一年間の歳月が流れて─
「おおっ!!!まさか一年間でここまでの整備まで行うとは!流石は我が娘だ!」
「個人まりとした城ではあるけれど、各装飾品は一級品ですし、調和が取れていて素晴らしいわ!」
シオンは一段落着いたのを確認して、両親を呼んだのだった。
「ありがとうございます。みんなが頑張ったおかげです!」
お母様は城にいたメイドや警備の獣人などに問い掛けた。
「ここの暮らしはどうかしら?困ったことはない?」
お母様の抜き打ちテストであった。恐怖で無理矢理従わせているのではないかという………しかし、どのエルフやドワーフ、獣人も前より暮らし易くなったと答えたので、お母様は内心、とても喜んでくれた。
そして、更に1年後ミスリル王国の王城に挨拶に戻ったシオンは王様にドワーフの魔剣やエルフの一級品の装飾品、獣人とエルフと共同で育てた希少な魔草、薬草を献上した。
「し、信じられん!?わずか2年でこれだけの品を税として献上するとは!?」
金額的にはドワーフの魔剣が1番だが、エルフ特有の装飾品は他の者が作れないため、オークションで高額の金額で取引されるし、魔草も魔導師や錬金術師にとって高額で取引されるものであり、大量に献上されていた。
金額だけで見れば、地方の街の税より多いだろう。
「王様、これから毎年これらと同等の量を献上することが可能です。ただし、魔剣については下手な者に売らないよう約束してください」
王様は頷くとシオンを褒め称えた!
「シオン嬢よ!よくやってくれた!素晴らしい成果である!」
王様は少し間を置いて言った。
「褒美として第二王子ガイアスとの婚約を認め………」
ドッカーーーーーーン!!!!!!
王様が言い終わる前に、謁見の間の窓ガラスが割れてワイバーンのシルビアが降りてきた。
「な、何事だ!?」
「王様、私も多忙の身なのでこれで失礼致します。ただ忘れないで下さい。このミスリル王国の亜人達の待遇改善を要求してきました。しかしその改善が見られません!これ以上、のらりくらりとまともに取り組まないのなら、大樹海の兵力を持ってミスリル王国に攻め入りますから!」
シオンはバッサバッサとシルビアの背に乗り、大々的に叫んだ。
「私は北の大樹海の領主にして、亜人達の守護者です!亜人達の為に要求を飲まないのであれば私は『魔王』でもなんでもなってやります!」
シオンはそう言って大樹海へと帰っていった。
そしてその噂は王都から国中へと広まり、一部では恐怖の対象として、亜人達には畏怖と敬意を持って【虐殺姫の魔王】として後世へ語り継がれることとなる。
当の本人はシルビアに乗り、クロスベルジュ領を行き来しながら、楽しく暮らしたそうです。
FIN
【虐殺姫】としての異名を持つ悪役令嬢は、いつの間にか魔王になっていた! naturalsoft @naturalsoft
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