終幕の続き、そして終わり
――十年後
「いろいろあったわねえ……あなたは昔から無茶が好きだったわねえ」
俺のとなりでフィールがそう言う、多少は目尻にしわが見えてきたがカワイイ奴だ。
「なんか失礼なことを考えなかった?」
「さあてね……」
魔族領の消滅でスートさんとリリエルさんはそちらに入植した人間たちの君主として君臨した。
そうして後がまがいなくなったスタイン領はフィールが後を継ぐと言うことで俺と一緒に統治をすると言うことになった。
「何もかも懐かしいことだらけねえ……知ってる? 魔族が生き残ってるって噂」
「いや、初耳だが、生き残りがいるのか?」
「さあねえ……ただ生き残りに襲われたときはどうすれば良いかって噂が面白くってね?」
「なんか対処法があるのか?」
「「私はマティウス様の配下だぞ」って言うと即逃げ出すって噂よ? ま、噂だけどね」
俺も結構な悪評をもらったものだ……
魔族領は大地以外一切のものが残っていなかったらしいので入植はスムーズに進んだ。
魔族からすれば超大型の天災が起きたようなものだろう、それを起こしたものと知り合いだと言えばそりゃあ逃げ出すだろう。
「噂ってものは尾ひれがつかなきゃ気が済まないのかねえ……」
フィールはクスリと笑って言った。
「むしろ尾ひれはそぎ落とされてるのよ? 噂じゃああなたが魔族を一体一体殺して回ったってなってるんだから。一発の魔法で消し飛ばしたって現実に比べればずいぶんとマイルドじゃない?」
まるで俺が残虐な人間のようではないか、不名誉な噂もあるものだ。
「ま、おかげさまでウチが公爵になれたんだし、結果オーライよね」
王も踏むのを恐れるところと呼ばれるスタイン領で俺たちは笑い合っていた。
ときどきモンスターが出るくらいでもう俺が直接討伐に出ることもなくなって久しい。
「懐かしいなあ……フィール、今日の夕食はあそこでどうだ?」
「いいですね、マティウスの昔話も是非聞きたいですし、あそこのグラタンは良いものです」
「じゃあ出かけるか!」
「うん!」
こうして後に魔導師の神と呼ばれる男の伝説は続いていくのだが、それはまた別のお話――
超高燃費魔道士、富豪と出会って成り上がる。「追放? 日常ですよ」 スカイレイク @Clarkdale
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