コンテスト用(最後はかならず私が勝つ)
alcor
第1話
私はカッコよく見られているのかな。そう電車の中で思った。そう、ウチの電車、中央林間行きには私と同じ年齢、でも輝かしい、控えて言っても私とは違う種類の若者がいる。
としたら、もちろん僕はそうは見られていないのは自分でも察するのだが。はあダサい、まあそう言っても悲しいだけである。そこらにいるオジサンを見ればいいものの、僕の目には映らず、ね。
目の前には一人ものがいる。ただ、髪のボサつき、ウレタンのマスクを見ていたらやはり何か違う。もしかしたら自分もそうなのかもしれないが、心の中で早いうちに彼はリア充になった。
祐天寺、私は普通に乗るのがクセで、ついノロノロと行くのだが、今ハラハラとホームドアを眺めていれば、アベックが入ってきた(カップルとだけは言えない! )。
別に至って迷惑な奴らじゃない。目を閉じる。スマホをいじる。窓を見る。さっきまでもしていたことを急にハラハラしながらしている。ドアの真横の席、手すりから距離を取る。
いちゃつくとかない。やはり礼儀がいい。静かだ眠い。自由が丘、中目黒と過ぎていく、もちろん一秒の間にではないよ。少し長い眠りに落ちている。
さて、渋谷である。田園都市線、JR線、井の頭線、地下鉄線はお乗り換え。私も降りて、階段を登る。リーチの長く見えるように急いで歩く。さっきまでいたはずのシャバに戻った。さて、季語とまで言われるようになったスクランブルへと来た。このご時世、三m距離をとって信号でうなだれ、あれがハチ公かと彼と幾度目かの逢瀬をして、ただ歩く。
半分歩きたいだけな僕である。歩道開通のハトの声がうるさい、人は前を見るか、それともこの距離で足を踏まないように下を見て歩く。コツコツという音は聞こうとすればうるさくなる。一日のうち、一回で多くて三千人が通るという、世界最大規模の交差点である。なんとなくこうして通りに来る人間がいるからよろしくないね。
誰かのハイヒールを踏むのだろうか、誰かに誰ぞののグッチのバックはひったくられるのだろうか。誰かにぶつかってロマンスが始まるだろうか。こう小説のありきたりのネタを考えているだけでウトウトしてしまう。こんな想像。でもここに関しちゃ、遊びでくるしか用がない私らなんぞみなそうであるのだろう。年を取ったらしらんがね、いやいや尚更惹かれるかもしれないなぁ。
こういうとき心が揺れるのはだいたい大学生である。全くもって恐ろしい方々、連中であるが。自分はああならないだろう。時にやかましい嬌声(声がうるさいのである)に耳をひそめるばかりだ。
さて、その日何があったかは聞かないでくれ。別に何もないけれど。何もないからだ。別に少しの旅をしただけだが、君達になんべんも似た話をして回るのはもう疲れたんだ。
彼らはこういうのに飽きないのだろう。分からん、というか、僕が自分の飽きにひしがれているんだ。
この一ヶ月後。
日頃の暇でネットニュースを見た。その日はあまりにも暇だったからか、「ハロウィン亡国論」というアホにも程がある記事を見た。(ああ、別に不適格で個人のエゴを満たすためだけに一方的な情報を流している記事な訳ではないことを断っておく)この見出しで思うのは、嫌でもそのハロウィンに参加する人らがまた未来を築くことになるというのに、だとかこれだから若者はを垂れ流すのも不快に思ったからだ。(まあ、これだから高齢者は、もある。)
ついクリックしてしまった訳だが、内容が思ってたのとは違った。本当に題名より良い記事を書いていると困る。
その内容というのが、ハロウィンの写す光と影を見ろ、という事だ。その華やかな彼らの後ろには彼らがいるだろう、と。彼ら、か(ああこれは僕の表現である)陰キャか。高校に入るときも困るように沢山言われた言葉である。僕に向かった言葉じゃないが。ハロウィンで仮想にお菓子をして練り歩く人達にはカネも余裕もある。下宿のアパートでときに気を使っておごりながら爪に火をともす(誤植かも? )ような生活をしている人。不登校、もしくは登校拒否の人。そうでなくてもリア充爆発と叫ぶ人。思い出も夢もない、ただニートになりたいという人。
極端な例ばかり言ったが、僕は見ているものは見ている。さすがにこの人達が存在していることは知ってる。彼、その著者もそれを知っていた。そしてやたらに学校生活で読書ばかりしていて友達がいなかったと強調し、同情を煽ってきた。(まあ同じ身だから分かるよ、)
それなのにテレビと来たら去年のマッドハロウィンやら異常な引きこもりやら、マスコミはそちらばかり宣伝していた。そうやって彼ら(僕も近いものだろう)の存在を消し去り、華やかだとか特徴的過ぎる若者ばかりを特集し、怒りの同情を集めている。そしてまた、それ、大学生デビューに憧れて上京するも、決して今までと変わらない、いやもっと悲惨な生活をする人がいることもあまり知られないだろう、と作者。作者もそんな上京をしたそうな。
彼ら(これは自分は違う)は陰キャを自嘲、そして自分と同様の人間を嘲っている。またときにはその華やか過ぎる連中が陰キャだと自分を自嘲するという暴言もある。ものによってはテレビすらも陰キャと言い出して侮辱までした(言い方だが、さすがに陰キャという言葉のイントネーションから誤魔化しようがない)。
その彼らを皆さんは知らないだろう。知っていても言い出せない、興味がない、言及を憚られる。
それが社会問題だと彼は言った。自分は目が覚める思いでいた。確かにそうである。{自分(ではないかもしれないが)のことをそう言うのも問題だが}
これが僕の勝ちであった。コメンテーターがこれを言及しただけで勝ちである。このネットニュースはあまり見られないかもしれないが、僕にとっては一つの勝ちであった。陽のあたる(というのもひどい言い方だが)場所へと彼は私達を突き出したのである。やがてこの記事も消えるであろうが、やっぱり有名人が言及する事を大きく思った。大きな影響がどこかで起こることを期待できた。
でもやはり、僕は負けているのであろうな。同じ土俵に立てていないだろう。でも彼の言葉を鏑矢にできたら、と強く思う。
はたして俺にできることは………
あ、その記事が見たい方は、「栄えて 滅ぶ理由 古谷」のカッコの中をコピペしてググって下さい。カッコは含まないで下さいね。ハロウィンがなんやら、とか言ってるそれです。こういうのってステマ判定受けますかね?
なんか相当に心配なことが色々ありますが、興味ある方はご覧になって頂きたいです。一応、大企業の新聞社(?)の記事です。まあ、URL打つ訳じゃあないんで、直で転送とかは間違えなくされないですから。
コンテスト用(最後はかならず私が勝つ) alcor @a1Cor
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます