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概要
ひどい悪夢なんてさ、獏が全部食べてくれたらいいのにね――
首都圏にある、そこそこ有名な大学に通う陸深(むつみ)には、大きく分けて三つの悩みがあった。
一つは長くて一週間、短くて三日、何故かベッドの周囲から離れられなくなる幼い頃からの奇病。特効薬すらなく、医者にすら匙を投げられたそれは、大学二年生になった今も変わらず続いていた。
二つに、心が満たされないこと。嫌いから逃れるために好きでも無い努力をして入った大学で一年間を過ごし、思う。変化がない、と。自己の変革に繋がると信じ、ほどほどの男と付き合い、思う。手触りが違う、と。何をすれば充足感を得られるのか、皆目見当が付かなかった。
そして最後に常に比較され続けて来た陸深の妹、菜々瀬(ななせ)の存在。逃避に繋げる為に苦労して勝ち取った一人暮らしは、陸深の生活圏に重なった彼女の有名中学への進学によって、僅か
一つは長くて一週間、短くて三日、何故かベッドの周囲から離れられなくなる幼い頃からの奇病。特効薬すらなく、医者にすら匙を投げられたそれは、大学二年生になった今も変わらず続いていた。
二つに、心が満たされないこと。嫌いから逃れるために好きでも無い努力をして入った大学で一年間を過ごし、思う。変化がない、と。自己の変革に繋がると信じ、ほどほどの男と付き合い、思う。手触りが違う、と。何をすれば充足感を得られるのか、皆目見当が付かなかった。
そして最後に常に比較され続けて来た陸深の妹、菜々瀬(ななせ)の存在。逃避に繋げる為に苦労して勝ち取った一人暮らしは、陸深の生活圏に重なった彼女の有名中学への進学によって、僅か
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