08 ENDmarker 2. & prologue
すぐに着ているものを下着以外全て脱いで。海に飛び込む。
波を切りながら。携帯端末で、細かい情況を確認する。監視カメラとの接続が生きているのなら。この海のなかでも、ケーブル設営所のリンクから辿れるはず。
なんとか、ケーブル設営所に辿り着いて。
息を大きく吸って、潜る。窓のところを蹴破って、中に入り込んで。彼を見つけて、そのまま水面に戻る。
「ぷはっ。はあ。はあ。遅れましたっ」
応答はない。
「すいませんっ」
応答。やっぱり、ない。
「ねえ。喋ってよっ」
なんとかして、岸に向かって泳ぐ。ここまで来たときと違って、なかなか、辿り着かない。潮の関係で、離岸流が強めになっているかもしれなかった。
「ねえ。ねえってば」
声を。かけ続ける。
おねがい。
岸に辿り着いて。
彼を、なんとかして、引き揚げる。
危ないので、背負って、少しだけ歩こうとして。
上空から、光。管区のヘリが来た。監視カメラのリンクで、ここを見つけたのかもしれない。
彼は。動かなかった。
ヘリのなかで。何度も。
「ねえ。いつものように言ってよ。遅いぞ、って。ねえ。おねがい」
何度も何度も。
「飯かって訊いてよ。ねえ。起きてよ。告白して死ぬなんて」
語りかけた。
「死なないでよ。ねえ。なんでよ。なんで」
彼は。
動かなかった。
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