02 & epilogue

 家についた。


 すぐに着ているものを全て脱いで。シャワーを浴びる。


 その間にも。携帯端末で、細かい情況を確認する。


 シャワーを止めて。


 下着だけつけて、自分の席について。ラップトップをたちあげる。起動画面biosをすっ飛ばして、管理画面から直接携帯端末と通信を繋ぐ。


「遅れましたっ」


『遅いぞっ』


「すいませんっ」


『飯か』


蕎麦そば食べたくなっちゃって。居酒屋に」


『蕎麦食いに居酒屋行くのか』


「情況を教えてください」


『突発的な雲だ。雷はないが、層を為していて止む気配がない』


 雨。


 さっき、当たってきた。


「かなりやばかったです。水たまりができるほどに」


『街中にか?』


「はい。ビルの新式のアスファルトにも水たまりが」


『そいつはまずいな』


 雨水槽の画面。


 正常。


『雨に当たってきたんだよな。ぴりぴりしたりとかはしなかったか?』


「いえ。普通の水でした。そうだ。そういえば」


 透明、だった。雨なのに、とても綺麗で。空がよく見えた。


『真水だと』


「いや、真水かどうかまでは」


 というか、真水というのがまず、分からない。


『雨水槽の吐き出しを止めろ』


「はい。止めました。でも、これだと」


『汚染されちまう』


「川が?」


『海がだ。純粋な水が多すぎるのもだめで、塩分濃度が極端に下がるとまずい』


「このままだと、あふれます。海の心配もいいですが、街の心配もしたほうが」


『そうだな。ぎりぎりを見極めて、解放しようか』


「はい」


 画面越し。


 彼の顔が、映っている。いつもの、顔。

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