大地が茜色に染まるとき、アイツが現れる……。

夕焼け小焼けで日が暮れて、この童歌を耳にすれば思わず、帰り道を急ぎたくなるのが童心と言えるのではないでしょうか。
ただ、これは主人公のワタルに取っては嫌な童歌なのかもしれません。それはアイツ、皮肉めいた事を口走る女神ちゃんの登場が一つの要因と言えるでしょう。ワタルには他にも嫌な所以はありますが、女神ちゃんとの一時の雑談はそれを忘れられるほどに和気あいあいとしています。然しながら、会話から何処か謎めいているもの覚えます。

気になる単語として、「釘刺し男」。その存在は謎めいており、そして着実に物の怪が姿を見せ始めるのです。這いよる恐怖。それに気が付かない二人は仲良く……とはいかず、ワタルが一人で駆け出した先は秘密基地。それは読み手によっては懐かしい童心を蘇らせる切っ掛けとなりますが、そこは向かってはいけない深淵の場所。恐怖の始まりだったのです……。

そこでワタルが見たものとは何か、恐怖のドン底に陥った時に救ってくれるのは誰か。そして何時の間にか戦慄の迷宮へと足を踏み入れてしまったワタルは、本当の意味で脱出できるのか……。
この先のワタルの命運は、是非とも拝読してお確かめください。女神ちゃんの秘密を知る、驚きの展開を見る事にも繋がります。一風変わったホラー物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。