個人的な感想なんですけど、最近のラノベって主人公が「カッコよくない」んですよね。当然全部じゃないですけど。
スローライフ、好き勝手に自由に生きる、冷遇されたけど今は優遇されてます、万能な能力、ハーレムとか、
作者の現実の欲望を前面に出しまくってるせいか、主人公自身の魅力じゃなくて、主人公の待遇にフォーカスが当たりすぎてるものが多いんですけど、
憧れてる矛先が「人」じゃなくて、「欲望を叶える力や、ちやほやされる環境」だから、なんか薄っぺらいんですよね、良く言えばストレスフリー。
そんななかこの作品の主人公…「カッコいい」んですよ。よく練られた設定や世界観にあぐらをかいてないんです。テンプレ通りに進む為の駒じゃない。こんな男になりたいとか、こんな上司だったらなぁ~とか、そんな「人」としての魅力があるんです。
完全に好みなんですけど、まぁつまり何が言いたいかって言うと、この作者「カッコいい」が分かってるってこと。
まず、この作品における『勇者』とは
最大最悪の罪を犯したものに科される懲罰である。
主人公もその仲間たちも、その懲罰を背負うも当然の罪人であり、
誰も彼もが恐るべき罪を言動から覗かせ、
あるいは現在進行系で犯し続けている存在。
そんな勇者たちに科される任務は、
世界を侵食し続ける『魔王現象』の撃退。
かくして、勇者と魔王は相対することになる。
ただ目の前の魔王に抗い、それを倒すために戦う。
たとえ死んでも蘇らせられ、再び最悪の戦場へと送られる。
戦い続けることそのものが罰。それが勇者刑。
主人公ザイロはその中でも特級の『女神殺し』の罪を背負う勇者。
彼の根底を支えるものは『怒り』であり、
それは自分自身と、世界に向けられたものだ。
その怒りでもって彼は誰かを救うために死地に飛び込み、
魔王に対して無謀ともさえ思える突撃を繰り返す。
最悪の犯罪者『勇者』たちによる、最強の魔王討伐劇。
過去を失い、今を縛られ、未来には絶望しか残らない。
それでも彼らの生き様は不思議な熱を帯びている。
まさに痛快ダークファンタジーと呼ぶにふさわしい傑作である。