第19話:政略結婚相手
魔虎王のタマを、エジャートン王家の第三王孫のサザランド殿下に会わせた事で、私の周りは劇的に動き出しました。
まずサザランド殿下が積極的に私に求婚してくれるようになりました。
政略による求婚なのは間違いありませんが、悪い相手ではありません。
味方である貴族派の方々から結婚相手を選ぶよりも、戦力的にも経済力的にもいい後ろ盾になりますし、私を狙った貴族派内の争いも防ぐことができます。
ただこんな状況をカーネギー王国が見過ごすわけがないのです。
愚かで根性なしのウィルズ第四王子はタマを恐れて何もできませんでしたが、従者の男爵令息が、従者ではなくミルドバン男爵家の令息として私に求婚してきました。
普通なら一笑に付すような実力差身分差なのですが、これがカーネギー王国から新たな政略決婚相手も送り込むまでの時間稼ぎだと分かっていましたから、エジャートン王国の条件をよくするために適当に付き合ってあげました。
それに、ミルドバン男爵家の令息リドワンは、容姿も優れていますし、智勇兼備の漢だという事は、一曲踊って話をすれば直ぐに分かりました。
「マリーナ女辺境伯殿、本国からブラウンロウ第三王子が来られます。
具体的な条件もエジャートン王家に負けないモノを用意いたします。
どうか今しばらくお待ちください」
リドワンが懸命に私を説得しようとします。
確かに両王家を競わせて条件をよくする必要があるでしょう。
でも、なにも両王家だけが交渉相手という事はありません。
カーネギー王国内にもいる、独立志向の貴族派を味方につける事もできるのです。
タマが味方でいてくれる限り、二カ国や三カ国と戦争になっても大丈夫です。
味方になってくれた貴族がが一つ二つ蹂躙される可能性はありますが、タマ達に敵対する王城を攻めてもらえれば簡単に勝てます。
「リドワン殿、私の結婚相手は別にどこかの王族でなくてもいいのですよ。
本人さえ優秀な方であれば、下級貴族はもちろん陪臣士族でも構わないのです」
私の話を聞いて、リドワンが驚愕の表情を浮かべています。
私がリドワンも候補だと言った事に気がついたのでしょう。
それくらい聡くなくては婿に相応しくありませんからね。
この話を聞いたジュリアスも今まで以上に働いてくれるでしょう。
グフマン王太子とビクトリアのバカップルが、一向に行動を改めないので、フレデル第二王子を担いだ連中と王太子派が戦争を始めそうです。
あいつらは潰し合って弱ってくれればいいです、相手にする気にもなりません。
それに付け込んで攻め込んできた国の王族を皆殺しにしたら、私への評価はもっと高まるでしょうし、貴族派はもちろんその領民が傷つき死ぬ事もないでしょう。
具体的に政略決婚の相手を決めるのはそれからでいいです。
「本気で言っておられるのですか、マリーナ女辺境伯殿」
「本気ですわよ、リドワン殿。
無能な婿を取って馬鹿な子を生んでは家が滅んでしまいます。
それよりは優秀な子を生める相手の方が、私の婿に相応しいですわ」
さて、私の結婚相手になるのは誰になるのでしょうね。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。 克全 @dokatu
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