トラップ、フラッシュバックでハートがクラッシュ

勇者の心は魔王の罠で疲弊していた。


「ハァァ…何かで心を癒したい…俺を好きな女の子とかいねぇかなぁ。」


これを魔道具越しに聞いていた魔王は

ニヤリとしつて、『ならば送ってやろう』と「女の子」を勇者の近くに送りつけた。


勇者の目の前で突如魔法陣が光る!


「うぉっ⁉︎なんだ⁉︎」


「オ゛トコ゛!ギキャギキャッ!」


そう、魔王が親切にも送ってくれた「女の子」とは、年齢的には女の子なゴブリンだ。


誰も可愛い女の子とは言っていない!

そしてこのゴブリンは男を求めている。

つまり、勇者を好きだと言っても過言ではない!(魔王談)


完全にこじつけ論だが可愛い女の子を勇者のもとに行かせる必要などないから勇者の不用意な発言が悪いだろう。


「うぁぁっ!くるなぁ!」


「オ゛トコ゛ォォッ!」


勇者は飛びかかってきたゴブリンを投げ飛ばし逃げた。


「ハァ、ハァ、女の子が現れて欲しいとは思ったが違うだろ…俺は胸がデカくてエロい女の子がいいんだよ!」


それを聞く魔王、その顔は完全に悪い顔になっていた。『これなら胸もデカいし送ってやろうw面白くなりそうだ』本音がだだ漏れの魔王は「胸がデカい女の子」を送りつけた。


またも勇者の目の前で突如魔法陣が光る!

先ほどのトラウマがフラッシュバックした勇者は即逃げた。


魔法陣から姿を現したのは、ちゃんと胸が大きな…オークの女の子だった。


「フガッ!イイ男!マチナサイ!」


「ひぃぃぃっ⁉︎胸というより全体的にデカいじゃねぇか!しかもエロいじゃなくて変態って言うだろそれ!」


勇者はかつて無いほどのスピードで走り、オーク《ぜつぼう》から命からがら逃げ延びることができたのだった。


勇者がしばらく休み、また奥に進みだすと、

謎の魔物が現れた。茶色いキノコに足が生えたような感じで顔が地味にいかつい。

得体の知れない魔物だったので勇者はとりあえず炎魔法のファイアーボールで焼き尽くした。なんだったのだろうか?

未知との遭遇に首を傾げながらも勇者はトラップに注意しながら進んだ。

少し進むと結構長い登り坂が現れた。少し滑りやすそうで、坂の両サイドの壁には所々大きめの穴が開いていた。とにかく勘が警鐘を鳴らしているが進むしか無い。勇者は坂を登り始める。

少し坂を進んだその時、トゲのついた丸太が転がってきた。

勇者は少しだけ、本当に少しだけ焦りながら華麗にジャンプを決めてそれを躱す!そして華麗に着地!…しようとして滑り、地面に顔からダイブした。ある意味綺麗な着地だった。

恥ずかしいのを隠しクールな感じで立ち上がった瞬間、今度はトゲが付いてない丸太が転がり落ちてきた。今度こそ華麗にジャンプ!しかし、突如丸太の前に出っ張りが出現!丸太は美しい放物線を描きながら勇者を巻き込み転がっていった。

満身創痍で痛々しい見た目の勇者は再び坂を登る。

今度は大きな鉄球が転がってきている。坂は四角い通路だ。勇者はそれを利用して隅にうつ伏せになりギリギリ鉄球を避けた。うつ伏せの状態から起き上がる時、ふと思った。『あれ?これって壁の穴に体を隠して避けるんじゃ無いか?』と。


もう完全に手遅れ感が否めないが坂はすぐそこで終わっている。もはや意味のない自問である。


坂が終わり、しばらく進むとそこには大きな穴が開いていて道が分断されていた。天井からは「俺を使いな!」とばかりに鮮やかな緑の太いツルが垂れ下がっていた。


光緒が苦手な勇者は足を生まれたての小鹿のように震わせながらツルを掴み振り子のように穴の上を移動していった。


(ブチ…ブチブチッ)


あと少しで地面に届くところでツルが切れた。絶望を顔に浮かべる勇者。そして諦めた表情になり目を閉じる。


(ゴン)


勇者の後頭部に衝撃が走った。


『これだけの高さから落ちたのに意外と痛く感じいな。いい人生だった。』


…勇者が目を開けるとそこには岩の天井と切れたツルのような、もの、が…?


勇者はバッと体を起こした。勇者は自分が先ほどの大きな穴に上に浮いているのを見た。


???


試しに足元に足を叩きつける。

(ゴンッ)

・・・

足元には魔法障壁のような透明な板状の魔力があった。


勇者はしょぼくれながら歩き出した。

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煽り魔王とダメ勇者 @syosetuniito

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